質問主意書

第24回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

籾井炭鉱施業案認可に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十年十二月二十日

吉田 法晴      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   籾井炭鉱施業案認可に関する質問主意書

一、福岡県田川市西区川宮籾井鉱業株式会社籾井炭鉱退職者組合代表森下幸司外三名の連名をもつて、昭和三十年七月、通商産業大臣に対して行つた鉱業法第百七十一条第一項の規定による異議の申立に関し、如何なる措置がなされたか。

二、右異議申立書中、昭和三十年五月、籾井鉱業株式会社は、隣接鉱区の野上鉱業株式会社と共謀の上、砂界層及び新五尺層の内、主力採掘区域であつた新五尺層を採掘終了した如くにし、これを廃坑し、野上鉱業株式会社は、その坑道を利用して坑道通過承諾書、坑道通過契約書等により自鉱区の採掘を行う施業案を福岡通商産業局長に提出して、認可を受け、一応合法的形態をとつたがその後は左記のような結果を招く原因となつた。
1 籾井鉱業株式会社は、残存可採炭少量なる砂界層のみの操業となり、これに数億の債務を負わされ、会社再建は不可能な状態となつた。
2 直接利害関係者たる従業員には、何等の事前通知もなく行われ、未払賃金及び退職金の支払を不可能ならしめた。
3 租税公課及びその他債権者に対しても支払を不可能ならしめた。

三、前項の認可を受けるため、籾井鉱業株式会社は、その資産であつた現在使用中の坑内外主要設備を野上鉱業株式会社に譲渡し、尚且つ採掘した石炭も坑内において野上鉱業株式会社に売炭するよう契約し、野上鉱業株式会社の石炭として坑外に搬出することとしているが、これは租税公課及び各債権者による物件差押を回避するための一種の詐害的行為であつて、政府はこの実態及び結果を知つて認可したものであるか。
また、認可をした理由は如何。