質問主意書

第22回国会(特別会)

質問主意書


質問第四号

農業協同組合に対する通運事業免許に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十年六月九日

鈴木 一      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   農業協同組合に対する通運事業免許に関する質問主意書

 通運事業法制定の趣旨は、通運事業の独占と集中を排除して、公正な自由競争のもとに健全な発達を促進し、且つ鉄道による物品運送の効率の向上を期するに外ならない。それ故に営利を目的とすると、しないとに拘らず、又個人、組合、法人であるを問わず、誰でも申請することができ、申請のあつた場合は免許基準によつて審査し、基準に適合していると認めたときは免許されなければならない。
 農業協同組合(以下「農協」という)は組合員の経済的、社会的地位の向上、農業生産力の増進と農業経営の合理化を図り、併せて国民経済の発展に寄与することを目的とし、そのため各種事業を行つている。
 特に、農協の運輸事業は農業協同組合法(以下「農協法」という)第十条第一項第三号、第三号の二、第六号及び第十二号の事業として認められているのであるが、特に
(一) 輸送は生産、分配、消費と密接不可分の関係にあり、且つこれらを繋ぐ紐帯をなすと共に物の効用を増加させるもので、農協事業の進展、農業生産力の向上及び農家経済の充実も輸送を度外視しては到底あり得ない。
(二) 農協は組合員の生産した物を最も有利に目的地に運び又組合員の必要な生産、生活必需資材を適期に、確実に輸送すべき責任を負荷されている。
(三) 農協が自ら輸送することは第三者からの中間搾取を防ぐことができ、又生産と消費との直結によつて流通過程における諸経費を最大限に節約することができる。
(四) 農協はかかる点から輸送や保管の施設を拡充整備しており、全国的な共通利害のもとに総合的に、且つ計画的に輸送を実施せんとしている。
(五) 農協は前述の通り、農協法の第十条で運輸事業を行うことはできるが、その場合、農協法は一般法であるから、特殊法である道路運送法及び通運事業法の免許を受けなければ貨物自動車運送事業や通運事業を経営することはできない。
(六) それ故に農協が一般区域貨物自動車運送事業の免許をうけたことも、又通運事業の免許を受けようとすることも当然の措置である。
 右の理由から農協は当局に対し過去数年間にわたり通運事業の免許について確固たる具体的な取扱方針を明示し、即急に免許するよう要請して来たが、仲々進展しないので、これが促進方につき農協から度々陳情をうけている。
よつて左記の諸点に関し当局の回答を願い度い。
         記

一、従来業協が通運事業の免許申請した件数はどの位あつたか。

二、右のうち今まで免許されたのは何件で、駅数及び駅名は。

三、農協の場合の免許の内容はどうなつているか。

四、申請を却下した事実ありや、その場合の具体的理由は。

五、米穀の自由販売も予測され、昭和三十年度産米より事前売渡申込制の実施に対処して、農協が通運事業の免許をうける必要性が更に強くなつたものとも考えられるが、この点についての見解はどうか。

六、既存業者の反対を恐れ、或は既存業者の温存のみを考え、農協の通運事業免許を極力阻止しているが如きことを聞くが、その事実ありや。