質問主意書

第21回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質第二号
  昭和三十年一月二十四日

内閣総理大臣 鳩山 一郎      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員大和与一君提出恩給過払等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大和与一君提出恩給過払等に関する質問に対する答弁書

一、恩給裁定は、公定力をもつて法律秩序を一定する力を有するものであるから、当該裁定がひとたび有効に行われた後においては、これをみだりに取り消すことの許されないことはいうまでもない。しかしながら、このようなことは、当該裁定が合法的に行われた場合においてのみ是認せられるのであつて、質問主意書にもあるように、その裁定の内容が違法であり、したがつて、法律上瑕疵ある場合においては、このような裁定が取り消されることは当然である。しかして、この場合、その取消の効果は当然既往に遡りさきの裁定は、はじめからその効力を生ずるに由なきものといわなければならない。

二、このように、恩給の裁定にあたりその内容において違法の事実が発見された場合においては、当該裁定も遡及してその効力を失うべきことになるので、かりに、これによつて過払を生じた場合においては、恩給給与規則(大正十二年勅令第三百六十九号)第二十五条により、直ちに恩給年額の訂正を行い、関係庁(進達庁及び支給庁)を経由して当該受給者にその旨を通知するとともに、訂正金額によつて支払われなければならないこととなるので、誤裁定による過払分給与は返還されるべきものである。

三、なお、昭和二十一年七月一日以降昭和二十二年六月三十日までの退職者についての恩給裁定の基礎を退職時の俸給より一号俸引き下げて算定することの立法措置については考えていない。