答弁書第一号
内閣参質第一号
昭和二十九年十二月七日
内閣総理大臣 吉田 茂
参議院議長 河井 彌八 殿
参議院議員東隆君提出輸出振興関係予算の使途明細についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員東隆君提出の「輸出振興関係予算の使途明細」についての質問に対する答弁書
一、(1) 農林省所管経費については次の通りである。
(イ) 二十八年度使途実績は、下記の通りである。
事 項 名 | 予算額 | 決算額 |
生糸海外需要調査費 | 七五一、〇〇〇円 | 七四八、七八三円 |
うち | ジヤパン・シルク・アソシエイシヨン委託 | 五四九、〇〇〇円 | 五四六、七八三円 |
郡是産業株式会社ニユーヨーク出張所委託 | 二〇二、〇〇〇円 | 二〇二、〇〇〇円 |
海外生糸宣伝費補助金 | 一九、〇〇〇、〇〇〇円 | 一九、〇〇〇、〇〇〇円 |
(全額ジヤパン・シルク・アソシエイシヨン委託) |
合 計 | 一九、七五一、〇〇〇円 | 一九、七四八、七八三円 |
(ロ) 二十九年度予算については、下記の通りである。
事 項 名 | 予算額 |
海外生糸市場調査宣伝委託費 | 五〇、〇〇〇、〇〇〇円 |
(金額中央蚕糸協会委託) |
輸出農林水産物海外宣伝費 | 二、〇〇〇、〇〇〇円 |
合 計 | 五二、〇〇〇、〇〇〇円 |
(2) 通商産業省所管経費については次の通りである。
(イ) 二十八年度については、下記の通りである。
総 額 | 一七三、九一〇、〇〇〇円 |
海外貿易振興会補助金 | 一〇七、四六七、〇〇〇円 |
重機械類技術相談室補助金 | 四九、二五〇、〇〇〇円 |
そ の 他 | 一七、一九三、〇〇〇円 |
(ロ) 二十九年度予算については、下記の通りである。
総 額 | 三二九、六〇六、〇〇〇円 |
海外貿易振興会補助金 | 一八六、三〇九、〇〇〇円 |
重機械類技術相談室補助金 | 一〇七、〇一四、〇〇〇円 |
そ の 他 | 三六、二八三、〇〇〇円 |
二、(1) 農林省所管経費については、次の通りである。
(イ) 二十八年度予算総額一九、七五一、〇〇〇円は、全額生糸関係であり、これを全額の海外市場調査及び海外宣伝のための経費に充当している。
(ロ) 二十九年度予算額は、五二、〇〇〇、〇〇〇円であつて、うち生糸関係は、九六%の五〇、〇〇〇、〇〇〇円であり、その他の四%の二、〇〇〇、〇〇〇円は生糸を除く他の農林水産物の海外宣伝費である。
なお、生糸関係五〇、〇〇〇、〇〇〇円は、ニユーヨーク事務所設置に要する経費及び生糸の海外市場調査宣伝費等である。
又輸出農林水産物海外宣伝費は、二十九年度においては差当り茶、薄荷、除虫菊、合板、椎茸、花莚、野草莚、肝油等に重点をおいて現在海外宣伝用パンフレツトを作成中である。
(2) 通商産業省所管経費については、昭和二十八年度および同二十九年度を通じ輸出振興関係予算は、物資別予算を編成していないので、通商産業省経費のうち農林水産物資に対する支出を特掲されていないからその比率等、は算出し得ない。
三、政府は、昭和二十五年度より、財団法人海外貿易振興会に対して、国庫補助金を交付しており、昭和二十八年度補助金交付額(決算額)および昭和二十九年度予算における国庫補助金額(成立予算額)は下記の通りである。
二十八年度
| 実行予算 | | 補助金使途内容 |
総 額 | 一〇七、四六七千円 | | |
国際見本市参加事業 | 三八、〇〇〇千円 | (1) | 第六回カナダ国際見本市参加 |
| | (2) | インドネシヤ日本商品見本市 |
| | (3) | タイ国憲法記念大博覧会参加 |
| | (4) | パキスタン日本小規模工業機械展 |
| | (5) | ワシントン州第三回国際見本市参加 |
貿易斡旋事業 | 三五、九六三千円 | | ニユーヨーク貿易斡旋所を設置し日本商品の展示、紹介、宣伝、取引の斡旋を行うための運営費 |
市場調査事業 | 三三、五〇四千円 | (1) | 海外に三十六名を設置して、海外市況の調査を委託する経費 |
| | (2) | 海外派遣員を中南米、東南アジア、欧米に派遣し、新市場の開拓、調査等に充る経費 |
| | (3) | 海外資料等を購入して、海外市場の経済の動向、商品市況等の各種情報の把握のための資料等の経費 |
| | (4) | その他ダン社の加盟費 |
| | (5) | 日本国際見本市補助金四、七五〇千円を含む。 |
二十九年度
| 予算額 | | 補助金使途内容 |
総 額 | 一八六、三〇九千円 | | |
国際見本市参加事業 | 六七、五〇〇千円 | (1) | タイ国憲法記念博覧会参加 |
| | (2) | 第四回シヤトル国際見本市参加 |
| | (3) | 第七回カナダ国際見本市参加 |
| | (4) | サンパウロ四百年祭国際見本市参加 |
| | (5) | テヘラン日本商品見本市参加 |
貿易斡旋事業 | 八三、八〇九千円 | | 二十八年度開設のニユーヨークのほかサンフランシスコおよびカイロに新設し、その運営費に充当する。 |
市場調査事項 | 三五、〇〇〇千円 | (1) | 二十八年度の海外市場調査事業のほか、新に、バンコック、カラチに専従調査員を派遣した海外市場調査事業費 |
| | (2) | 日本国際見本市補助金四、五〇〇千円を含む。 |
四、前項の国庫補助金は、同会の各貿易振興事業別に計上してあるもので、従つて、特定の産業あるいは個個の品目別には予算使用枠を設けておらず同会の事業の中農林水産物資についても他の品目と同様にその輸出振興に寄与することを期している。なお同会の昭和二十八年度事業中農林水産物資に関するものは、実績として尠なからざるものがあるが、その内容を明らかにするためには、各種の資料よりこれを抽出しなければならないので、そのためには若干の日時を与えられたい。
五、特にバナナ輸入を見返りとして、財政上補助金予算は、計上されていないが、バナナ輸入については過去において先着順輸入方式等がとられていたのを、昭和二十八年度上期より改正し、台湾に対する特定の雑貨、農林水産物等の輸出額の一定比率の金額のバナナ輸入を認めるリンク制とした。その結果本制度が日華両国間の通商の拡大に寄与する意義はあつたものと認められる。
|