質問主意書

第19回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質第四号
  昭和二十九年二月二十三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員青山正一君提出漁業協同組合に対する課税上の疑義に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出漁業協同組合に対する課税上の疑義に関する質問に対する答弁書

 法人税法においては、法人のすべての所得に対し原則としてその発生原因のいかんを問わず課税しているのである。
 しかし、組合員の相互扶助を目的とし、その協同仕入、協同販売等をなす漁業協同組合、農業協同組合等のようないわゆる特別法人の所得については、その構成員たる組合員との取引から生ずるものを含んでおり、通常事業年度終了後においてこれを個々の組合員の組合との取引量に応じ特別配当の形で還元しているのであるが、かかる特別配当は、税法上の損益計算の立場から見れば、実質は一種の割戻と考えられるため、組合が利益処分の形式をとつているにもかかわらず、特に事業分量に応ずる分配を特別法人の所得の計算上損金に算入しているのである。
 以上の趣旨は、特別配当を損金に算入することを始めて定めた昭和十五年の創設に係る特別法人税法第四条についての国会における政府委員の理由説明などその審議の経過に徴しても明らかであつて、現行法人税法第九条は昭和二十三年に特別法人税法を法人税法に統合した際、特別法人税法第四条の規定をそのまま踏襲したもので、以上の趣旨は何等変らないのである。
 水産業協同組合法第八条においては、この事業分量について非課税とする規定が設けられているが、すでに法人税法、地方税法において非課税の規定が存する以上、これと異る内容をもつ規定を設けているのではなく、組合法自体において一見してその措置を知ることができるようにしているに過ぎないのである。
 これに反して自営事業から生じた所得は、組合と組合員との取引から生じたものでないので、本来事業分量の分配の対象となり得ないものであるから、組合がこれを分配しても法人税法上は損金に算入されないのである。