質問主意書

第19回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

対中共並びに韓国漁業問題についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十九年四月十二日

青山 正一      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   対中共並びに韓国漁業問題についての質問主意書

一、所謂李ライン宣言に端を発した韓国政府のわが漁船に対する弾圧は、依然として理不尽を極めている。例えば済州島の南西百二十海里を航行中の漁船をさえ拿捕せるが如き、保安庁所属公船に対して、今後李ライン内に立入らぬとの念書の提出を強要した如き、全く看過し難いものではないか。

二、李ライン宣言は、国防上の必要を有力な理由としていたが、既に戦乱が終結した今日においては、宣言公布の根拠は消滅したと断んずべきではないか。

三、韓国産の海苔が、わが国において輸入を禁止されたとの口実から、韓国政府は日本からのセンイ製品等の輸入を禁止せんとし、遂には経済断交に発展するにあらずやと憂慮せられている。

四、米国の斡旋に期待していた日韓会談は、停頓状態にあることは甚だ遺憾ではあるが、この局面打開に如何なる用意がなされているか。

五、中共貿易については、非公式の交渉が行われているが、漁業問題の解決についても、この種の非公式交渉の途を開くべきではないか。

六、対中共の漁業問題につき、第三国の斡旋に期待し得るものがないか。かかる方面の対策についても考慮すべきではないか。

七、中共の日本漁船に対する拿捕又は釈放には、何等かの計画的意図に基づくと解せられるものがあるが、この点につき何等かの情報は得られないか。

八、中共では、青島方面の漁船二隻と乗組員二十五人とが釈放せられ、次いで一二隻の漁船が釈放せられるのではないかと伝えられているが、その真相を確認する方法はないか。

九、中共港湾に出入する日本商船に拿捕を見ないのは、事前の打合わせがあつた如き特殊の事情があるためとしても、中共本土から遠い公海上に行動する漁船が、常に拿捕の対象となつているのは不可解である。機密の保持その他の関係から漁船の行動につき何等かの誤解をもつているのではないか。

十、中共、韓国方面の公海に行動する漁船の安全確保につき、現に採られ又今後採られんとする対策は如何なるものか。

十一、ジユネーブにおいて開かれる極東平和会議は、本件解決の契機を作り得る絶好の機会と信ずるが、政府はこれに参加せざる場合においても、オブザーバーを派遣して、積極的に利用すべきではないか。

十二、中共並びに韓国の相次ぐ不法行為により、わが関係業者の受けた損害は甚大なものがあると考えるが、これに対する補償その他の救済につき、如何なる対策が準備せられていたか。

 以上の各項目は、わが漁業界にとつて、何れも緊急な問題であるから、この機会において、政府の所見につき、具体的にして詳細なる明示を切望するものである。