質問主意書

第19回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

砂糖輸入及び精製に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十九年二月二十三日

栗山 良夫      


       参議院議長 河井 彌八 殿



   砂糖輸入及び精製に関する質問主意書

 戦前におけるわが国砂糖消費量の六〇%が「黄双」又は「粗糖」のままで食糧として国民に親しまれ、また戦後、食糧不足のときには米の代替として配給されていたにもかかわらず、政府はこれをダニがいるとか大腸菌がいるから食用に供せないという理由で食糧とせず「生産資材」として取扱い、国民の生活水準が未だ戦前の八〇%前後にしか達していない現在、砂糖のみは年間需給計画量一〇〇万トンの殆んど全量が精白されているときく。
 粗糖(赤ザラ、黄ザラ)を調味料に使用すると一〇〇匁で間に合うものが精白糖なら一二〇匁を必要とするというが、このことは、国民に耐乏生活を強い「緊縮財政」を立前とする政府が、国民に贅沢な、高価な砂糖を多量に使用させることになると考える。
 又年間需給計画は一〇〇万トンであるにもかかわらず精糖能力は二〇〇万トンを超えるという。これは政府の原糖割当が精糖能力によつて行われているために、精糖会社は「ドルの枠」をとるために不必要な増設を行つたものであると考えられる。
 その他、世界の標準価格を設定する役割をしている「米国ニューヨーク、コーヒー砂糖取引所」の相場に比べ、現在の国内の消費価格は約四倍に当り高率な利潤がうかがわれ、その間に精白糖にする工程においての目減り、歩止り率のゴマカシ、脱税(公表歩止り率以上の実質歩止り)等の疑義を生じる。
 国民生活に関係の深い諸予算が削減されんとしている時、政府は国民の生活を圧迫し大資本を擁護して多額な利得を与えていると考えるので、下記一、二((一)(二)(三)(四)(イ)(ロ))三、について回答せられたい。

一、終戦後より現在に至る原糖、粗糖、糖蜜、精製糖の輸入状況について左の事項
ドル割当、バーター、スイツチ貿易別、相手国別、糖種別、年次別に、商社又は加工業社の輸入申請の内訳(量、単価等)及び輸入実績(量、単価等)。

二、終戦後より現在に至る間において精糖会社別について左の各項
(一) 全国各精糖会社の創業(終戦後の再開を含む)年次、及び各年次別の生産設備増強及び資本金増加の実状。
(二) 右設備増強資金の内訳を自己資本、他人資本(社債、金融機関のときは借入先別)の別として具体的金額別。
(三) 各社の役員(監査役を含む)、相談役、顧問、嘱託について終戦後今日までその職に在つた者、又は現にその職に在る者についての氏名、職名、略歴。
(四) 現在において政府が公正妥当と考える原価計算書を提出せられたい。
なお右計算書には原価の基礎となる諸経費(資本費を含む)の主なるものを項目別として
(イ) 現有設備その儘の状況におけるもの、
(ロ) 設備の稼動率を一〇〇%としたときの仮定計算のものと二通にせられたい。

三、今後の砂糖に対する政府の価格引下げ方策及び需給安定策について具体的に伺いたい。