質問主意書

第15回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質第一三号
  昭和二十八年三月三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員須藤五郎君提出不当にして人権を全く無視した強制送還に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員須藤五郎君提出不当にして人権を全く無視した強制送還に関する質問に対する答弁書

一、政府の強制送還に関する方針は、昭和二十七年四月二十八日参議院本会議において主務大臣から説明した通りであり、これを変更してはいない。また立法当時の政府の答弁及び立法趣旨と本件との間に食違いはないと考える。即ち前記説明で明示した通り「一定の刑罰を受けた者とか特に悪質の者」に対して法令の適用は当然であり、本件は正しくこの範囲に含まれるのであるから、非道な処置とは言えないと解する。

二、本件の李信雨は、窃盗罪等により二回懲役刑に処せられた者で、同人にかかる外国人登録令違反事件の処理は、旧外国人登録令第十六条の規定に基き適法になされてあり、且つ本人もその処分に対して何等の異議がない次第で、本件処置は正当な処分であると信ずる。

三、本件は、前示の如く適法な処分であるから、直に本人を放免する要がないと考える。