質問主意書

第15回国会(特別会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質第七号
  昭和二十七年十一月十四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員青山正一君提出旋網漁業の調整方針についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出の旋網漁業の調整方針についての質問に対する答弁書

第一 現行取締規則運用の問題

一、詐可統数について

 「まき網漁業取締規則」の施行により、農林大臣の詐可漁業となつた指定中型まき網漁業については、従前知事がした許可又は起業の認可であつて、昭和二十六年一月一日以降に有効であるものについてのみ切換許可をしてきたのであるが今後は、漁業の協同化によるものについても考慮することとし、戦時中の事故その他の事情から已むを得ず廃業していたもの又は定置漁業等本漁業と関係深い漁業から転換しようとするものについても右との関連において処理致したい。
 新規許可については、この他指定海区内関係府県と指定海区外関係都道府県との間に入漁の協定が整つた場合指定海区外の中型まき網漁船について考慮する外は認めない方針である。
 また、宮城県その他後進の地域であつて今後増加の傾向にある地域については質問の趣旨に沿つて処理致したい。

二、漁船総トン数の増加について

 まき網漁船網船の総トン数の増加については、沖合漁場への進出、経営の合理化等を勘案し、従前の総トン数の三割増の範囲内において認めることと致したい。
 なお、指定中型まき網漁船又は中型まき網漁船(但し、一そうまきの場合は三十トン以上)一統を被代船として八十トン未満の大型まき網漁業を営もうとする場合にあつては、他種沿岸漁業又は他のまき網漁業との関係を考慮し、その操業について一定条件を附してこれを認めることと致したい。
 この他、昭和二十六年度に実施した漁船検認の結果増トンしたものは認める方針である。
 なお、本漁業と他種漁業を兼業する漁船については、操業上の危険防止等につき、慎重に検討の上、取扱いに遺憾なきを期したい。

第二 海区制全面実施又は隣接海区及び他種漁業との調整について、指定海区の指定外海区間の相互入漁又は隣接海区を指定海区に含めることについては、他種沿岸沖合漁業との関係等に種々問題があるので、早急に結論を得ることは困難であるが、隣接海区との相互入漁の促進又は北海道太平洋側の海区制及び日本海のより完全な海区制実施について慎重に検討中である。
 禁止区域については、他種沿岸沖合漁業との調整に必要な海域以外には設定しない方針である。