質問主意書

第13回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質第四号
  昭和二十七年三月二十五日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員青山正一君提出国立東京水産大学の施設についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出国立東京水産大学の施設についての質問に対する答弁書

一、国立大学の大学院は、昭和二十八年度から発足する予定で準備を進めているが、その設置に当つては、学部の教授組織及び研究施設が充実していて、余力のあるものを優先的に考慮し、且つ国土計画的な適正配置をも考えて措置したいと考えている。従つて具体的にいかなる大学に設置するかは文部省として未だ決定していないのであるが、国家財政の現状から見て、昭和二十八年度から多くの国立大学に大学院を設置することは困難であると思われる。

二、
1.本校はその前身たる旧水産講習所として、東京都深川区越中島町にあつた校舎が終戦後連合軍に接収されたため、急遽神奈川県横須賀市久里浜所在の旧海軍通信学校の施設の中連合軍に接収されていない部分を使用して授業を続けていたが、この施設は狭隘である上、施設の質も粗悪極るものであるので、連合軍接収中であるが、連合軍によつて使用されていない鉄筋コンクリート造建物その他を管理使用の許可を受け使用中、警察予備隊の設置に伴い、連合軍の命により警察予備隊に明け渡すこととなり、同校は再びもとの狭隘粗悪な施設に留まることを余儀なくされたものである。
2.越中島校舎は一部木造建物は戦災により焼失したが鉄筋コンクリート造の主要建物は残つて居り、終戦後連合軍に接収されたが、警察予備隊の設置に伴い、連合軍は接収のまま警察予備隊本部にこれを提供したもので、その後連合軍は同施設を日本政府に返還の処置をとつた。なお、その際連合軍当局は警察予備隊に引き続き使用せしめたい旨を口答で伝えた。
3.以上のような経過で同校はいまだに校舎問題の解決を見ず困窮しているものであるが、越中島校舎はもともと水産講習所施設として作られたもので施設、地理的条件共同校には最も適しているので、同施設の返還について努力している。
4.越中島校舎は警察予備隊本部として使用しているため、適当な代替施設がなければ移転困難の事情にあるので、講和の発効に伴い、他に連合軍による接収施設の返還が行われる見通しもあり近く解決の方途を見出すことができると考えている。