質問主意書

第12回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質第五号
  昭和二十六年十一月十六日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員青山正一君提出外地における戦犯者の引揚措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青山正一君提出外地における戦犯者の引揚措置に関する質問に対する答弁書

一、フイリツピンにおける死刑囚(六〇名)に対しては、目下キリノ大統領の下において個別的に再審査が行われている模様であり、内地よりの減刑歎願者に対しては、適当な考慮が払われるべき旨の回答が寄せられている。政府としては減刑に関しては先方の好意ある措置を期待している。

二、マヌス島服役者の内地服役実現の時期についてはまだ不明である。しかしながら香港に抑留されていた濠州関係戦犯者は、本年五月十七日引揚げ、目下巣鴨拘置所において服役中である。従つて同島よりの内地服役も遠からず実現するものと期待しているが、現在同島の戦犯判決については、同国が最終的再審査を行つているものと考えられる。同島において服役を完了した者については、船便あり次第還送されることになつているが、右が著しく遅延することがあれば、その促進方を要請することと致したい。

三、一般に外地戦犯者の内地服役に関しては、政府としても既に総司令部に対しその希望を申入れてあり、総司令部においてもこれに異存はないところである。しかしながら、判決の最終的確認が行われる前に内地服役実現を期待することは困難である。従つて政府としてはフイリツピン及びマヌス島における判決が確定後は、改めて内地服役早期実現方を要請することと致したい。