質問主意書

第11回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質第一号
  昭和二十六年八月十八日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員カニエ邦彦君提出遊興税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員カニエ邦彦君提出遊興税に関する質問に対する答弁書

一、公娼制度廃止の趣旨は、婦女子に対し売春を強制することを禁止することにある。しかし現実にそれが社会通念上遊興行為と認められるものである限り、遊興飲食税を課税することは、公娼制度廃止の趣旨に矛盾するものではない。質問書中に引用された内務省財政課長内翰は、決してその行為自体が遊興行為であることを否定したものではなく公娼制度の廃止によつてこのような行為が絶滅することを期待し、従つて、課税することは無意味であるとの見解に立つものであるが、課税をしない結果は期待に反し、この種行為の絶滅をみない許りでなく、逆に他の遊興飲食行為との負担の均衡を失することとなつたので、地方財政委員会は、課税本来の立場に還り、旧財政課長内翰を廃棄したものである。

一、もとより、個人の自由意思による性行為に対してすべて一律に遊興飲食税を課税するとすることは必ずしも適当ではないが、個人の自由意思に基くものと雖も、対価を得て不特定大衆を相手として継続約に反覆されている性行為は、社会通念上遊興行為と認められ、従つてこれに遊興飲食税を課税することは当然である。

一、公娼廃止の主旨は個人の基本的人権を尊重する点にあるので講和会議後も公娼制度を復活する考えはない。