第10回国会(常会)
答弁書第一号 内閣参質第一号 昭和二十五年十二月二十六日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 佐藤 尚武 殿 参議院議員青山正一君提出講和条約と漁業問題との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員青山正一君提出講和条約と漁業問題との関係に関する質問に対する答弁書 一、国際漁場における資源を国際的道義を守り人類福祉のため開発する趣旨のもとに、国際漁場へ進出することについては同感である。 二、漁区制限を規定した連合国総司令部覚書には、このような制限漁区内における操業を許可することは、漁業地域の権利の最終的決定に関する連合国の政策の表明ではないとの趣旨が述べられている。政府としては、講和条約成立後には現行の漁区制限が解除されることを希望するが、条約ができるまでは確言できない。 三、合衆国の提案には「麻薬及び漁業に関する多数国間条約に加入することに同意する」と書かれているので、国家間で締結された条約に日本が加入する意味と考える。 四、公海は、国際法上何国の所有にも属せず、公海における漁業は自由であつて、国家間の別段の協定があるとか、現在のような特殊の事由によつて漁区の制限をうけるとかいうことのない限り、出漁できる筈である。 なお、支那東海黄海方面及び北洋漁場については、将来この漁場が関係国との友好関係において、わが国民が利用できるように、あらゆる機会において適当な措置を講ずるように致したい。 |