質問主意書

第10回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

農業機械課設置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十六年三月十五日

鈴木 直人      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   農業機械課設置に関する質問主意書

 日本の農業を近代化しその生産能率を高めることは日本の民主化にとつても国民生活の安定にとつても緊急を要する案件であり、これは終戦後の歴代内閣が常に強調してきたところである。特に現内閣に至つては国際情勢の緊迫に伴つて食糧増産確保の必要が一段と強められたため、政府はこれが緊急対策として食糧の一割増産を強調しこの施策の一翼として農村長期金融方策、農業協同組合の強化策等各種の対案を講じつつあることは誠に適切な方向である。
 しかしこのような応急的施策も勿論重要ではあるが深く日本農業の実態に思いを致すならばこの際政府は更に抜本的な根本施策を講ずべきである。つまり日本の農業経営を飛躍的に発展向上させるためにも食糧増産確保のためにも絶対に必要な前提条件は、農家経済の向上を期するために農業の機械化を強力急速に促進することである。
 農業機械化は耕作法の改革として積雪単作地帯対策としても不可欠の施策でありその導入如何によつてはこのような一毛作地帯をも二毛作地帯と化する可能性を含み食糧増産、農業改革の緊急要件である。
 しかるにこの必要に対する現在の農林行政機構を見ると、かつて農業機械資材関係事務を所管した資材課までが廃止され、ここに所属された専門要員は農政局農政課または改良局指導課に若干づつ分散配置されている状況である。
 わが国の農業は農業自体とし自立的に開発発展できない産業である。
 言いかえれば日本農業の発展はその非常に大きな部分を国家投資にまたなければならないということは遺憾ながらわれわれが率直に認めなければならない日本農業の実態である。まして農業機械化の如き大事業は農家の自己資本などでは到底実施し得ないところで、どうしても政府が強力な推進力となつてこれを押し進めなければならない施策である。またこのような大事業は到底ある部局の一部などでこれを推進し得るものではなく、政府は宜しく新たに農業機械課の如き専管部課を設け、ここに有能なエキスパートを集中し関係地方庁との密接な連絡の下に、農業経営に対する農業機械の積極的を利用を促進すると同時に優良農業機械の生産をも督励すべきであると信ずる。
 農林大臣はこれに対しいかなる見解を有するか本質問書を提出する次第である。