第9回国会(臨時会)
答弁書第四号 内閣参質第四号 昭和二十五年十二月十二日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 佐藤 尚武 殿 参議院議員中川以良君提出産業復興公団の民間保有物資買収に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員中川以良君提出産業復興公団の民間保有物資買収に関する質問に対する答弁書 遊休物資の急速な活用を図るため、国権を以て国の機関に買上げ、しかも相当長期に亘り流通性を禁じた登録国債を以て対価を決済したことは、当時の情勢にかんがみ真に已むを得ない措置とはいえ苛酷に失するおそれもあるので、当初より早期償還すべく検討を重ね、更にその後の経済情勢の変化に伴い、関係各省とも努力の結果、国の一般的な債務償還の一端として、本年五月一日より過剰物資の対価たる登録国債の償還が開始され、十一月末現在において国債登録簿の登録済額は、約八億九千七百万円であり、うち約六億七千弐百万円に及ぶ過剰物資関係の登録国債は、約五億参千壱百万円の償還を終り、未償還額は、約壱億四千壱百万円を余すのみである。 今後の償還予定については、未償還の過剰物資関係の登録国債を優先させ、年内約弐億八千万円の財源の見通しもあるので、できる限り早期償還の実現を図るよう目下配慮中である。 不正保有物資関係の登録国債についてもまた本年度中に償還すべく極力努力中である。 以上の民間保有物資を産業復興公団において買収する場合に交付する国債については、利子も附される事になつており、かつ、その償還も現に行われつつあるのであるから、法人税及び所得税の課税標準の算定にあたつて、特にしんしやくする必要はないと考える。 |