質問主意書

第9回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

産業復興公団の民間保有物資買収に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年十二月二日

中川 以良      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   産業復興公団の民間保有物資買収に関する質問主意書

 昭和二十三年五月一日法律第三五号により産業復興公団を政府の代理人として民間保有物資の買収を為したるものの取扱いに関し被買収者から種々苦情の申出がある。その大要は、左の通りである。

一、買収価額は多くの場合時価に比し著しく低廉であること

二、買収物資の代償として交付を受けた国債は極めて低利(年二分)にして且つ長期(十年以内)であるのみならず、質入譲渡を禁止されている不融通登録国債にして被買収者としては利用価値甚だ乏しいこと

三、産業復興公団及び所管官庁の事務取扱いは、緩慢を極め物資買収よりその代償たる国債交付までに甚しきは一年、若しくはそれ以上の時日を要すること

四、税金関係において右国債額面金額をもつて処分したものと看做し法人税又は所得税の課税標準とされること

 右の内一及び二は法規の命ずるところでその変更は法規にまたなければならないとするも、三及び四は所管官庁、産業復興公団の清算事務を行う機関及び税務官庁の事務促進又は実情に適合する措置等により改善の方法があると信ずる。
 右国債は産業復興公団において買収物資を処分しその売得金を政府に納入せしめ償還の財源となすこととなり、これ迄若干の償還の財源となつたが大部分はなお未償還の状態にある。然るに産業復興公団の買収に係る物資の需要旺盛にしてその処分は極めて容易であると認められるに拘らず、その処分代金の納入がなくこの為に右国債の償還をなし得ないのは甚だ遺憾とするところである。更に戦時中の軍需会社等にて解散の指令を受け清算中にある会社の中にはGHQより急速に清算終了の勧告を受けているが、処分不能の不融通登録国債を所有している為清算を終了することができず困却している極めて不合理な事態を生じている。ついてはこの際速やかに産業復興公団及び同公団の清算事務を行う機関における右物資処分及び処分代金の実情を調査し、その償還の進行状況、今後における予定、並びに前記清算中にある会社に対する処置等詳細の報告を求めるとともに急速に手続を進行せしむべきであり、又右国債が法人税又は所得税の課税標準となる場合におけるその価額の算定を経済上の実情に適合するよう改め、もつて被買収者の苦痛を緩和すべきであると信ずるが、これに対する政府の処見を問う。