質問主意書

第8回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質第一号
  昭和二十五年七月十八日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員三好始君提出生松脂採取の促進に関する質問に対し、別紙答弁を送付する。



   参議院議員三好始君提出生松脂採取の促進に関する質問に対する答弁書

一、(イ) ロジンの需要量は戦時中は最高三万トン近くあつたが、終戦直後は諸産業も枯渇状態になり極めて消費能力も薄弱であつたが、昭和二十二年頃から漸次復興の軌道に乗りきたり消費量も増大してきたが、現在需要量一万五千トンは戦前の約二分の一に過ぎず、此の数量は此処当分の間は不動の実数量と推測される。従つて国産も漸次軌道に乗りつつあるので指導と努力の如何により需要量を国産品にて全量供給可能であるので、これが実現を図りつつある。
(ロ) テレピン油については主として塗料及びその他の物資の容剤として使用されるもので従つて終戦後は一般容剤の不足に伴いてテレピンの需要が多かつたが、現在は松根テレピン油、ミネラル、ターペン及びベンゾール等の供給が円滑となつたので量的な面においては不足はないのでコストの問題に懸つている。従つて現在は他の容剤がコスト安のためテレピンの需要は減少の一途をたどりつつある。

二、別表(一)の通り。

三、戦時中は輸入量が急激に減少したが反面昭和十三年より政府のとつた国産生松脂増産奨励が漸次普及して国内の生産量が急速に増加した。終戦直後は一時生産は減退したが、昭和二十三年頃より再び活発となり、昭和二十五年においては需要量の約四割に当る国産品を生産の見込である。テレピン油はその原料である生松脂と松根油の生産が増加したため略需要と供給の均衡が採れている。
 ロジン、テレピン油の国内生産量別表(二)の通り。

四、わが国は松が豊富に分布しているのであるが、現在国内生産は需要量の三〇%~四〇%程度に過ぎない状態である。そこでロジンの増産を促進するために政府においては関係庁を通じて一般にその重要性を認識せしめるとともに雑誌、パンフレツト、ラジオ放送等で生松脂採取の普及宣伝を図つている。
 なお政府としては毎年国有林、公私有林の生松脂採取の適木を調査して、一般採取希望者に対し極力原木の開放を促進せしめている。又採取技術の向上については、前記の外各地方庁を督励して実地講習会を行う等その増産に努力している。又松樹伐採の認可制度をとるという方法については、森林施業計画等の関係もあるので目下検討中であるが、差当つては指導により伐採前の生松脂採取の汎行強化を図つてゆく方針である。
 テレピン油については国内産で需要量を十分満しているし、今後生松脂の増産に伴つて、テレピン油の需要が増えても十分満し得る見込である。

別表第一 1/4
別表第一 2/4
別表第一 3/4
別表第一 4/4

別表第二 ロジン、テレピン油の国内生産量