第7回国会(常会)
答弁書第五八号 内閣参質第四八号 昭和二十五年五月二日 内閣総理大臣 吉田 茂 参議院議長 佐藤 尚武 殿 参議院議員横尾龍君提出海事金融に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議院横尾龍君提出の海事金融に関する質問に対する答弁書 一、第五次新造船に対する対日援助見返資金借入の場合における担保の問題については当該新造船は其の借入額の八〇%迄の担保価格を認められており、したがつて残余の二〇%については増担保を要求せられ他船をこれに充当している現状である。 これは金融界の慣例から見て寧ろこれ以下であるのが普通であつて対日援助見返資金に対し当該新造船のみを担保とすることは誠に望ましいことであるが差当つて甚だ困難であると思はれる。機会をみてその趣旨に副うやう努力する考えである。 なお現在の船舶の附保価格は実際価格に比し低廉なものが相当あるからこれを実際価格まで引上げれば担保の問題は可成り緩和されると思はれる。 又現状の儘でも優秀な船主は充分担保余力を持つているので第六次船の建造には支障がないものと思はれる。 二、見返資金の金利が高率であり従つて採算面に大なる支障があることについては御説の通りであつて見返資金の金利引下げについては昨年来種々接衝を行つて来たのであるが他産業との振合もあり独り海運のみ引下げることは望ましくないとの意嚮が依然として強いのが現状である。 しかし昨年来市中金融機関の金利水準も低下をみている情況であるので更に懇請を重ねる所存である。 |