質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第四七号

内閣参質第三五号
  昭和二十五年三月三十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員大畠農夫雄君提出旧軍事施設物件払下処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大畠農夫雄君提出旧軍事施設物件払下処理に関する質問に対する答弁書

(一) 旧軍事施設及び物件の払下状況と売払代金の徴収状況は、左記の通りである。

     記



(二) 旧軍用施設等の払下の内容に関し、その全ぼうを周知せしめるため、これを公表することは極めて望ましいことであるが、何分にも数量がぼう大であつて売払件数が極めて多数にのぼるので、個々の内容についてその都度公表することは、事務的に極めて繁瑣である。しかしながら、統計的な数字をもつて適当な機会に公表することについては、従来もその資料を中央及び地方の新聞社その他に提供しており、また、今後も継続する考であるとともに、財産整理が相当程度進捗したときにおいては、その統計実績を公表することも考えている。

(三) 売払代金の収納未済になつている原因は、公共団体にあつては、予算的措置未了によるもので、その他のものにあつては、金融難に基因するもの或は旧住宅営団等現に清算中であるため徴収に至らないものが主なものであるが、これら未納金に対しては、従来から鋭意督促を重ねて来たので、最近においては減少の一途にある実情で、再三督促を加えても納入しないものについては法務府へ取立方を提訴するか、事情によつては売買契約を解除する等の措置を採つている。

(四) 国有財産の事実上の管理処分は、各地方の財務部長が相当している関係から、二三の財務部においては、特に監察係を設け常時職員の監査を行つており、又財務部の首脳者等がその管内の出先に出張する際には、管理処分上の監督を励行している等常に不正防止のために万全の注意を払つているので、今後各財務部に特に監察専担の人員を配置し不正防止に万全を期したい考えである。

(五) 茨城県稻敷郡阿見町所在旧霞ケ浦海軍航空隊の施設に属する地下ケーブル線は、野原貞次郎外一〇七名が連署をもつて電燈新設の用に使用する理由で払下の申請をしたので調査したところ同人等の居住する場所は無電化村であり、且つ、その当時関東配電でも資材難の折柄当該資材を早急に役立たせることが日本再建の一助になると認め、取りあえず発掘することを承認し、正式売払をせずして保管(使用)を許可したものである。
 然るに、関東配電では、資材の融通がついたため会社所有の資材をもつて設備を完成し、保管者において本物件が不用に帰したので、これを現金化し、政府に対する支払金に充当すべく保管していた処、たまたま出先機関の事務担当官が脳炎で急病死する一方払下申請者の一員たる岩本、山口両氏よりの告訴があつたので、当局においても甚だ遺憾とし、常時検察庁当局とも連繋を保ち絶えず事件の推移を注視し、事件の解決を俟つて処理する見込でいたが、今日に至るも未解決であるため、本月に至り過去の保管(使用)料金に相当する弁償金(一〇、四四三円)と当該物件の売払代金(四一、六九四円)を徴収すべく手続を完了した。