質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第四二号

内閣参質第三〇号
  昭和二十五年三月十四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員淺岡信夫君提出遺家族及び戦傷病者の処遇に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員淺岡信夫君提出遺家族及び戦傷病者の処遇に関する質問に対する答弁書

一、未復員者給与法又は特別未帰還者給与法に規定する俸給の支払いについては、本人の帰還時に支払うという建前となつている。これは、未帰還者が帰還した場合、当座の生活及び生業に資するという点も配慮されているので、この際、俸給を前払いするということは必ずしも妥当ではないと考えられるが、なおこの点については慎重に研究致したい。

二、戦没者及び残留間死亡者の遺族を対象として、特別に弔慰金等の制度を設けようという意図はない。

三、従来、陸海軍所属職員に適用されていた給与に関する諸法令は、昭和二十二年五月二日限り廃止され、その廃止法令施行の際、現に陸海軍に属し復員していない者については、復員するまで従前の業務に相当する未復員者としての業務に従事するものとして、給与についての取扱いに関しては、従前の例によることになつているのである。
 従つて、質問第三項前段の場合には、昭和二十年十一月二十四日連合国最高司令官から日本政府に発せられた「恩給及び恵与」に関する覚書に該当するものと考えられる。
 また、後段の場合については、傷病軍人恩給に関しては、その金額は、右覚書の趣旨に従い定められたものであるが、この傷病軍人恩給及び未復員者給与法又は特別未帰還者給与法による障害一時金は、今後他の同種補償の改善された場合には、これに伴ひ右覚書に反しない範囲において、是正の方法を講ずる方針である。

四、傷病恩給等は、症状固定を条件として支給されるのであるから、同一傷病の再発という場合があつても再度療養を行うことは困難である。なお、公務員等の身分を保有しながら残留した人々で引揚後療養等を受けられない向に対しては、療養等の点について何等かの具体的処置を進めるよう致したい。