質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第四〇号

内閣参質第二七号
  昭和二十五年二月二十四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員池田恒雄君提出供米状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員池田恒雄君提出供米状況に関する質問に対する答弁書

一、昭和二十四年産米(含雑穀)の最近に於ける地方別供出状況は別紙買入状況一覧表の通り

二、昭和二十四年産米の供出は作況の関係により収穫期が十日乃至十五日遅延したことと、収穫後の天候不良のため全般的に出遅れとなり、十月末現在二〇、七%(前年同期三二、四%)、十二月末現在七四、一%(前年同期八三、九%)であつた。その後北海道、東北、関東、北陸、東山、東海、近畿、中国の各地方は全般的に遅延を取り戻し本年二月十日現在に於ては、ほぼ前年に匹敵する進捗率を示している。四国に於ては徳島、香川の両県は前年と大差がない。これに反して愛媛、高知及び九州各県は今尚供出状況極めて不振であつて、二月十日現在に於て高知六四、一%(前年同期八九、一%)、大分八九、九%(前年同期九六、九%)その他の県は両県の中間値を示している。これは稲熱病及び秋落のため大減収を来し、供出余力が絶対的に減少した関係と考えられる。
政府は右の諸県及び作況がこれと同様な条件下にあつた、岐阜、静岡、三重、広島の四県合計十三県に対し、五十六万一千名を限り供出責任を追及せざる措置をとつた。
尚滋賀、京都、大阪、和歌山、山口の府県は供出は一応完了したが、農家の保有米の状況に鑑み特別価格による返還、措置等により或る程度の手直しを行う必要を認め、その数量については目下検討中である。

三、昨年度は供出割当制度の趣旨の不徹底より一部保有農家にも供出割当を行つた向もあるやに耳にしたので、この弊を除くため、昭和二十四年六月二十五日附農林省令第五十七号をもつて食管法施行規則中に第三条の二として一部保有農家に対しては、供出割当をしないことを旨としなければならない趣旨の条項を新たに設けた。しかし、今年産米の事前割当はこの改正前に殆ど完了しているので、今年産米についてもなお末端において一部保有農家にも割当を行つていることの絶無であるとは申し難いと考える。

四、事前割当以後において災害その他真に已むを得ない事由により供出完納が困難となつたときは、補正措置を講じて供出数量の軽減を行うこととなつているが、真実の減収量の把握が困難であることと末端に於て適正なる補正が行われないことのために保有量を削つて供出する農家も実際上存在するものと思う。本年は作況不良の実情等をも考慮し、免責措置をも併せ講じたのであるが、なお、保有を切る場合は確実に農家配給を実施するよう努力したい。

五、個人割当の不均衡の是正については、鋭意努力しているのであるが、二十四年産主食より食確法の適用をみ、割当の公正化、民主化が企図されたので、その不均衡は相当矯正されたものと考えられる。しかし、個人に対する割当事務は市町村長の委任事務となつている関係上、遺憾ながら未だ末端に於て多少の割当上の不均衡はまぬかれないと思料される。

六、一、に於て説明したとおり、一月十日現在における供出成績は全国ベースで九六、二%であり、供出の最終期限の三月末までには全国ベースで補正供出数量は完納する見込である。しかし供出意欲の低調、作況の不良、及び割当の不均衡等から未完納農家が部分的には生ずることも考えられる。斯かる農家の内実収等より見て真に供出の困難なる農家については、知事に於て供出の責任を追及しないことになるし、悪質なるものについては強権を発動せられる場合もあると思われる。なお、現在の未完納農家の地方的分布は一、二、より推察され度く、その農家並びに農家の性格は区々であり一概に説明を加え得ない。
 昭和二十五会計年度における主要食糧の需給計画の大要は左の通りである。
 国内産食糧の供給については、米(代替雑穀を含む)の供出量を、三二、三三二千石、麦(代替雑穀を含む)の供出量を八、一五四千石とし、他に交換供出麦及び雑穀を見込んで算定し、いも類については甘藷二億七千万貫、馬鈴薯一億三千万貫、計四億貫の買入を見込めば国内産食糧の供給量は五八、五〇六千石となる。
 需要については主食用は配給基準量を一人一日当り二、七合とすれば、その所要量は五七、一六〇千石となり、他に加工用として二、八二七千石、種子用として六七千石を必要とする。
 国内産食糧の供給及び需要を右の通りとすれば、主食用としては、玄米換算二、七一七千屯の輸入食糧の配給を必要とするのであるが、輸入食糧の輸入見込は玄米換算三、一五〇千屯であるので、この数量の輸入が達成せられれば充分この所要量を充足しえられる見込である。
 尚明年度の需給については末だ月別に計画を考える段階に到つていない。

昭和二十四年産米買入状況調   二月一〇日現在 1/3
昭和二十四年産米買入状況調   二月一〇日現在 2/3
昭和二十四年産米買入状況調   二月一〇日現在 3/3