質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五号

内閣参質第二四号
  昭和二十五年二月二十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員梅津錦一君提出米麦超過供出に対する課税並びに一般徴税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員梅津錦一君提出米麦超過供出に対する課税並びに一般徴税に関する質問に対する答弁書

一 昭和二十三年度の米麦の超過供出奨励金に対する課税上の取扱については、大蔵省は、広く「農業所得に対する所得税の実務要領」を配布し、その内容において、詳細に示してある趣旨により、地方の実情に応じ、適正な課税を行つている。

二 食糧管理法施行令第四条による指定業者は、生産者から供出の委託を受けた米麦等を政府に売り渡し、政府の発行する主要食糧買入代金支払証票を生産者に交付する義務があるから、匿名による超過供出を、指定業者である農業協同組合が、委託を受けた場合は、前記の主要食糧買入代金支払証票を匿名生産者の代表(農業協同組合を含む。以下同じ。)に交付し、匿名生産者の代表は、実際の生産者に適当な方法により供出代金を分配することになる。
 この主要食糧買入代金支払証票は、小切手と同様の性質を持つものであるから、指定業者は所得税法第六十三条第一項第三号に規定する「物品の給付」をなす者に該当する。なお指定業者である農業協同組合が同支払証票を、生産者の要求により、預金に振り替えた場合又は匿名生産者の代表者が、その超過供出代金を実際の生産者に金銭をもつて分配した場合は、さらに同号に規定する「金銭の給付」をなす者に該当する。

三 正当な自主的な申告は、認めている。各農家の所得金額を調査する上において、できる限り適正公平を期するため、前項で述べた理由により調査を行うのであつて、農民の所得資料を適切に集めることについては、税務官庁と農業協同組合はできる限り協調して、相互の摩擦をさけ、円満な調査を実施するよう努力している。

四 申告所得税については、納税者の適正な自主的申告を期待しているのであるが、実際の収入及び支出を記帳している納税義務者が著しく少い現状であるから、多数の納税者又は標準所得者について調査し、各種の調査資料を総合勘案した結果に基いて、一般納税者個々の実情に即した課税を行つているのである。しかし実際の所得がこれと異なるときは再調査の機会があり、再調査の申請があればさらに個別的に実地調査をして事実に即した課税を行うよう努めている。