質問主意書

第7回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参甲第一七九号
  昭和二十五年一月三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員小林勝馬君提出日本通運の独占力による海上進出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小林勝馬君提出日本通運の独占力による海上進出に関する質問に対する答弁書

一、日本通運の解体方針

 通運事業の本質から考えて、通運事業の運営体制は鉄道と表裏一体となり、鉄道輸送の能率を確保し、又鉄道を介する隔地取引の円滑を図るために、全国的な網をもつことが最も望ましいのであつて、日本通運の体制はこの趣旨に合致しているものと考えられる。
 従つて、日本通運の事業場の分割は賛成し難いが、現在日本通運が鉄道駅構内に所有する荷役機械等の諸施設は、一般に公正且つ有効に利用し得るように解放すべきだと考えるので、これらを日本国有鉄道に譲渡する法律案を先ず臨時国会に上程し可決を願つた次第である。
 なお持株会社整理委員会において決定された日本通運の再編成計画に対する指令案も概ね同趣旨である。

二、日本通運の港湾運送事業進出への措置

 日本通運の港湾運送事業への進出については、現在港湾運送業は自由営業であるので、これを阻止することは法的に不可能であるし、又日本通運が通運事業を円滑に遂行するためには、或程度港湾運送業を兼営する必要のある地区もあるので、一方的に抑えることは不当であるが、日本通運と港湾運送業者との間に不当な摩擦を生ずることのないよう、今後日本通運が現状以上に港湾面に進出しようとする港湾、及び現在日本通運と港湾運送業者との間に紛議を生じている港湾については、小運送業の複数制実施による影響並びに、小運送作業との関連を考慮し、個々の港湾について関係者間で協議の上調整を図るようにしたいと考えている。
 なお港湾運送事業における公正な競争を確保するとともに同事業の健全且つ民主的発展を図るために左の方針により目下法制的措置を検討中であつてその具体化に努力している。
(一) 港湾運送事業の合理化
(二) 少数大資本による港湾運送事業の独占化の排除
(三) 適正規模業者の零細化並びに下請専業化の防止及び零細規模業者の濫立防止