質問主意書

第7回国会(常会)

質問主意書


質問第六一号

占領政策誹謗の言動に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年四月十九日

石川 準吉      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   占領政策誹謗の言動に関する質問主意書

 聞くところによれば昭和二十四年六月二十九日午後八時頃秋田市記念会館において日本共産党代議士野坂參三氏は約二千名の聴衆を前に公開演説を行い、左の如き要旨を強調したということである。
 即ち、「吉田内閣は自主性がなくて今次国会の予算案は自作ではなくて司令部案の翻訳であつた。予算案の中で最も重要なるべき教育費その他は皆削られており、増額されたのは財閥を利する二千億であり又警察や監獄を建てる費用のみである。特に増額の大きいのは土木費で、しかも新らしい道路を通す費用が非常に多い。この道路を日本人が歩くかどうかは私は知らない。」と、この点に関し秋田市下中城町敬愛学園高橋彌太郎氏より七月二十六日秋田検察庁に告発し、現在取調中である。その後秋田全県内にわたつて「軍事基地化反対」という共産党のビラが掲げられ、その説明は右の野坂氏の演説と全く等しいものであつたということである。
 更に昭和二十五年になり雑誌「日本評論」には、徳田氏が書いた記事に「日本の観光道路計画はアメリカの大金持を迎えるための売笑婦的なものでしかも軍事基地化と合致しているのだ。」と述べており、又同年一月二十六日には秋田県雄勝郡院内町の町議会の席上全町会議員及び傍聴人数十名を前にして町会議員の共産党東海林健氏は「院内町の峠道国道を改修するとの今次国会の計画は米軍の軍用道路たることが明かであるために町民は反対せよ。」と演説した事実がある由である。かくの如き言動は占領政策を誹謗するのみならず、国家の建設工事を妨害し失業救済事業をも妨げるものである。これに対し政府は、如何なる処置を執られるか、対策があれば示されたい。