質問主意書

第7回国会(常会)

質問主意書


質問第四八号

水産物の統制撤廃に関連して統制水産物の売買代金決済の渋滞に対する措置その他に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年三月十八日

青山 正一      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   水産物の統制撤廃に関連して統制水産物の売買代金決済の渋滞に対する措置その他に関する質問主意書

一、本件に関しては既に去る三月三日開会の水産委員会において、本議員が水産庁当局に対し質問したところであるが、当局においては、これが善処を言明し、その後水産庁長官名をもつて各都道府県に対し関係法規(水産物配給規則第三十六条、加工水産物配給規則第三十二条)により必要な行政処分を実施するの外、一般的支払促進のため適切な措置を講ずるよう通牒がなされたやに承わるが、本通牒によつて統制水産物の売買代金決済の渋滞は緩和されたか否か、その経過並びに結果につき具体的に回答をお願いする。

二、農林大臣は、三月十五日の新聞記者団会見において来る四月一日より水産物の価格配給統制を全面的に撤廃する旨言明されたが、本件の実施に関しては本議員が屡々水産委員会において水産行政上又水産物取引面に対し重大影響を与えることを理由として、事前に統制下に生じた各種の案件を慎重に処理した上実施さるべき旨要望したところであるが、水産委員会に対しても何等の連絡もなく、これが実施を発表したことは真に遺憾の次第なるが、果して右言明の如く実施されるのであるか確実な回答を求める。

三、前項水産物の統制撤廃に関連して特に統制水産物売買代金決済面に更に渋滞を加えることは必至で、これが適切な処理を困難ならしめるおそれがある。本件については政府当局が有効適切な措置を講ずるに非ざれば既に民間業界においては、その解決は不可能の状態にあるが、これに加うるに統制撤廃に対する業者の思惑によつて、事態は益々深刻な様相を呈しつつある。六大都市卸売市場関係のみについて見るもその未決済金は十数億円に上り、これを全国的には公認荷受業者、集出荷機関、登録小売業者を総合すれば、百億円を突破する巨額に達すると称せられている。
 統制水産物の売買取引によつて生じたかかる巨額の未決済の処理は、その発生の原因並びに経過よりするも応急且つ適切な措置を必要とするは勿論であるが、本件の解決をこのまま放置して、水産物の統制を全面的に撤廃する時は業界に重大衝撃を与え関係業者には倒産者続出し、延ては戦後漸く回復しつつある我が国漁業の復興をも危殆に頻せしめる結果を招来すると思う。
 本件に関しては事茲に到つた以上単なる行政的措置に止まらず、政府は進んで支払保証等の如き応急且つ具体的措置をとるべきと思うが、政府はかかる措置をとる意思があるか否か明確な回答をお願いする。

四、更に水産物の全面的統制撤廃は水産行政の各部面に多大の影響があると思うが、特に本議員が一月二十七日開会の本会議において当局に質したところの統制撤廃により生ずる行政官吏離職の件に関し、その後如何なる対策がとられたか具体的に要員の配置転換等の如き適切な措置が講ぜられたか否か回答を求む。