質問主意書

第7回国会(常会)

質問主意書


質問第四七号

旧軍事施設、物件払下処理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年三月十四日

大畠 農夫雄      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   旧軍事施設、物件払下処理に関する質問主意書

 旧軍事施設、物件払下に関し、終戦後の混乱に乗じて不正事実の多かつたことが想像されるがこれを好機として、管財局出先官吏が地方の利権ボスと結托して、不当処分を行つた事例も少くなかつたと思われる。
 例えば政府において払下を許可し、その事実内容の明かなるにも拘らず、代価の徴収を怠り、その結果、被払下人に不当な利得をもたらし、国家に莫大な損失を与えている事実がある。
 茨城県稲敷郡阿見町所在霞ケ浦海軍航空隊の施設に属する地下ケーブル線に対し、東京財務部茨城支所霞ケ浦出張所は、(現在廃止)昭和二十一年二月、同県稲敷郡茎崎村高見野原貞次郎外三名に対し払下を認可したが、野原貞次郎は、部落の電灯設備に使用する理由をもつて、部落民百八名の連署をとり認可申請をなしたにもかかわらず、昭和二十三年四月末日迄に、少くも千八百米を掘取り、之を横領して、他へ転売し、その代金を着服して今月に至つている。
 右の事実は、同部落代表岩元與三郎、山只清一郎の告発により龍ケ崎警察署並に水戸地方検察庁龍ケ崎支部の取調べによつて明かであり、それによればその所管である東京財務部龍ケ崎出張所係員富田某は、部落の公益上の目的のため払下たのであつて、被払下人個人に払下たものでない事を言明、また同所長明石卓夫は被払下人において掘取つた現物は同人に保管せしめていると証言している。しかるに之に対し、同出張所(現在所管土浦出張所)においては、今日にいたるまで事実内容について調査することなく放置し、取消しの処分も行わざるのみか、代価見積の請求等も行うことなく、今日に至つている。
 被払下人に対して同様の取扱をもつて放任している例は、この外にも少くないと思われる。かくのごときは当該官吏の怠慢のみならず、かかる事例に対する適切なる監察を欠く結果と思われるが、未端機関の一部においてかかる放慢なる措置が行われていることは遺憾である。よつて左記の点に関し、政府の答弁をもとめるものである。

(一) 旧軍事施設及び物件の払下状況(種目別数量及び規格の概要)とその決済状況

(二) 右払下の内容に関し、政府は適当の機会にこれを公表すべきであると思うが、その用意ありや

(三) 未決済の主なる理由と今後の処理方針、とくに徴収促進に関して政府のとりつつある措置

(四) 出先官吏と一部民間人との結托による不正事実に対する監察を如何に行つているか、また過去において行つていたとすれば、その実績

(五) 前記引用の事例に対して政府のとるべき措置如何

  右質問する。