質問主意書

第7回国会(常会)

質問主意書


質問第四二号

遺家族及び戦傷病者の処遇に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年三月三日

淺岡 信夫      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   遺家族及び戦傷病者の処遇に関する質問主意書

 戦没者遺族外地残留者留守家族及び戦傷病者等いわゆる戦争犠牲者は最近その大部分の生計が急速に困窮化し、而もその処遇についても均衡を失し、或いは不合理と見えるものが少くない。
 依つて、左の事項について質問する。

一 未復員者給与法又は特別未帰還者給与法にいう未復員者、又は特別未帰還者の留守宅に対し政府は此の際帰還時支払わるべき俸給中の相当額を前払の方法によつて支給する考えはないか。

二 戦没者及び残留間死亡者の遺族に対しては、未復員者給与法、又は特別未帰還者給与法の規定により、遺骨引取に要する経費及び埋葬に要する経費として、計三千二百円が支給され、又外地から帰還後療養中に死亡した者の遺族には埋葬に要する経費一千五百円が給せられるに止つている。
 政府は、これらの遺族に対し、適当なる範囲に、弔慰金の制度を設ける等遺族慰しやの方途を講ずる意志はないか。

三 外地残留間、連合国側の使役に基因して死亡した者は、昭和二十年十一月二十四日附の「恩給等停止に関する指令」にいう所謂軍隊勤務の理由による死亡者と、その処遇を異にするを至当と考えられる。
 又引揚傷病者中不幸不具廃疾となつた者に対する傷病恩給や未復員者給与法又は特別未帰還者給与法による障害一時金は、著しく低額で、他の同種補償に比して甚だ不均衡である。
 政府はこれらの処遇について是正の方途を講ずる意図はないか。

四 引揚傷病者の中、その傷病に基く恩給等を受けた者は、再発等治療の必要を生じた場合受給額が到底治療費の何分の一にも達せぬにもかかわらず、未復員者給与法に規定する療養を受け得られない。
 又官吏等で残留間元の官庁等から規定の給与を受けていた者で、傷病者として引揚げて来た者も、前の場合と同様療養等が受けられない。
 政府は、この際これらの不均衡を是正する意向はないか。