質問主意書

第7回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

北海道産いらくさ集荷に対する損失補償に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十五年一月十日

岡村 文四郎      

       参議院議長 佐藤 尚武 殿



   北海道産いらくさ集荷に対する損失補償に関する質問主意書

昭和二十三年度産のいらくさ原草の集荷については、昭和二十三年三月農林省蚕糸局長及び商工省纎維局長連名通牒及びこれに基く同年四月北海道庁経済教育両部長連名通牒により、七九七、二〇〇貫の厖大な採集指示が為され、関係業者を挙げて原草の採集に全努力を傾注し、総採集量漸く二四八、〇八九貫に達し、政府当局の当然の指示を期待したのであるが、従来北海道産いらくさ原草を一手に引き受けていた旭川紡績株式会社に対する中央割当は僅か三四、七八九貫に止り、残糸については政府は何等の指示をも行わず徒らに日時を経過し、関係者としては焦眉の急を要するので昭和二十三年八月以来北海道庁、旭川紡績株式会社及び北海道販売農業協同組合連合会の関係者が数次に亘り参集協議の結果同年十一月十日迄で一応原草採集を打ち切り、既集荷分については内地売り込みを為すことになり、漸く昭和二十四年四月日本雑繊維工業連合会が引き取ることに話がまとまつたのである。
しかし乍らこの間徒らに日時を経過し一般農産物の集荷時期と競合した関係及び倉庫施設の不備等の原因から集荷した原草も一部野積をせざるを得ず各単位協同組合の凡ゆる防雪防雨の努力にも拘らず総集荷量の約六割程度の腐敗欠減を出すの已むなきに至つた。
 かくして漸く北海道産いらくさの道外輸送を打ち切ることを得た昭和二十四年十月迄の間日時を閲すること実に一年有半、北海道生産農民の被つた有形無形の損害は言語に絶するものがあり、しかもこのいらくさ集荷の実際は大半零細農民、幼少なる学童、繊細なる婦女子等が、凡ゆる労苦を厭わず集荷したものであることに思いを至すならば、かかる善良なる国民の労苦の結晶が、全く関係官庁の事務的怠慢によつて一大損害を被り、しかも当面の責任者たる政府当局は敢てこれを顧みないとするならば、実に今後の我国農業政策遂行上にも由々しき重大事態を惹起することは火を見るよりも明らかである。従つてここに、右事態を惹起した顛末及び右生産農民の約参百五十八万七千余円にも達すると認められる損害に対する補償についての政府の責任ある回答を要求する次第である。