質問主意書

第6回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二十号

内閣参甲第一四七号
  昭和二十四年十一月二十五日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 佐藤 尚武 殿

参議院議員姫井伊介君提出失業対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員姫井伊介君提出失業対策に関する質問に対する答弁書

失業者現在数及び追加労働希望者数

一 最近における失業者数は総理府統計局の労働力調査及び公共職業安定所の窓口に現われた失業状況を綜合的に勘案すれば約五〇万乃至六〇万人と思料せられる

(イ) 総理府統計局の労働力調査による失業者数
     (調査期間中収入を伴う仕事を全くしなかつた者)
 二四年五月     四四万人
    六月     三六万人
    七月     三八万人
    八月     三五万人
    九月     四七万人
(ロ) 公共職業安定所窓口における未就職者数
 二四年四月     三八万人
    五月     四二万人
    六月     四七万人
    七月     五六万人
    八月     六五万人
    九月     六八万人

二 総理府統計局調査による本年五月の就業者数のうち追加労働を希望するものは四一八万人であるが、このうち

(イ) 就業時間別に見ると
 現在就業時間数 一週一九時間以内のもの                五〇万人
           二〇時間乃至三四時間以内のもの          一〇二万人
           三五時間以上のもの                二六六万人
            計                       四一八万人
(ロ) 希望する労働力時間別にみると
 現在の就業時間三四時間以内のもので三五時間以上の就業を希望するもの  一一八万人
 現在の就業時間三五時間以上のもので三五時間以上の就業を希望するもの  二六六万人
 その他                                三四万人
  計                                 四一八万人
である。
本年度下半期において新に失業者を吸収し又は救済する計画の大要
一 民需産業                      一七万人
 貿易条件の改善、品質改良等の措置によつて輸出産業振興に努力すると共に関連産業の活況を図りこれによつて民需雇用も一七万人程度吸収する

二 商業、自由業その他流通産業             一〇万人
 生産財産業の進展は自らサービス産業の雇用増を来すものと見込まれる

三 見返り資金の運用による雇用量の増大     一五万-三〇万人
 見返り資金は本年度において約五〇五億円が基幹産業等の再建のため投融資されることとなつているが、未だその大半が解除されていない、従つて見返資金放出による雇用増も今後に期待される

四 公共事業に対する失業者の吸収    一三、五万-一八、五万人
 第三、四半期以降失業者吸収率が引上げられ、又事業設定種目も拡大されたので、失業者吸収率該当数は従来の約四倍と改訂され、公共事業の事業量も補正予算一〇六億円成立の暁には増加するので、下半期は前期に吸収した失業者の外新に右程度の失業者を吸収し得られる

五 失業対策事業(補正予算)             六、三万人
 失業対策事業については失業者の発生状況に応じて、民間産業及び公共事業にも吸収できない場合最後的措置として実施されるものであるが昨今における失業事情の緊迫化に伴い第四、四半期の補正予算として八億五千万円が計上されこれが成立を見れば上半期に比し六万三千人の使用労働者増が見込まれる

六 失業保険                      五三万人
 一般の失業保険により救済できるものは、本年度補正予算八億三千万円及び積立金を使用するとせば下半期において約四〇万人を追加救済することができる
 なお本年十一月より実施される日雇の失業保険(補正予算九千万円)により約一三万人が救済できる見込みである

 即ち、現在失業対策として新規に吸収しうる人員は一三〇万乃至一三六万人を見込んでいる。