質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第九十二号

内閣参甲第一〇九号
  昭和二十四年五月二十三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員板野勝次君提出農地買上手数料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員板野勝次君提出の農地買上手数料に関する質問に対する答弁書

一、農地の買収売渡は国家の仕事であつて、農地委員会が国の補助金によつてこれに当つているのである。ただ農地委員会が当事者の申出によつて特別の行為をしたときは実費を徴収することができる規定がある(農地調整法施行令第三十六条)。
 この場合は地方庁が定めた基準によるものでなければならない。また、農地委員会の経費は歳入歳出とも一応市町村の予算として計上されるのであるから、実費を徴収した場合は一たん市町村の歳入となるのである。これは、市町村農地委員会が任意の寄附を受けた場合でも同様である。
 一般に農地委員会の国庫補助金が満足すべき額でないため経費に不足をきたす場合のあることは事実であつて、そのためにその不足分を自治団体が負担していることは少くない。しかしこの場合その財源は、買収売渡に関係ある特定の者の負担ではなく、一般的な租税として住民全般がその能力に応じ負担しているわけである。
 以上述べた以外の形態で農地委員会が手数料をとることは、認めていない。

二、況や、名を手数料にかりて、農地委員会或は農地委員等が勝手に徴収経理し、負担しない者には売渡を行わない等の言動をなして、醵金を強制することは、最も忌むべき行為である。そのような事実の陳情があつたので、当局において積極的に真相を調査して行政的措置をとつた事例もある。

三、神戸市須磨地区農地委員会の問題については、まだ報告を受けていないが至急事実を調査する。