質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第八十八号

内閣参甲第一〇〇号
  昭和二十四年五月二十一日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員井上なつゑ君提出日本赤十字社在外資産に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員井上なつゑ君提出の日本赤十字社在外資産に関する質問に対する答弁書

 今次戦争中、日本赤十字社は、在外邦人救恤の目的をもつて、三十八万円を在ジユネーヴ赤十字国際委員会に送金して、これが処分方を同委員会に一任した。右金額は、十五万円と二十三万円との二口に分れ、前者はブラジル、ペルー、メキシコ、チリ、コロンビヤ、パラグアイ、ボリビヤのラテン・アメリカ諸国に在住する邦人に充てられ、後者は北米合衆国、濠洲・カナダ、印度の邦人に充てられた。
 終戦後、右金額の残額は、東南アジア方面に在る邦人俘虜抑留者の救恤のために使用され、更に昨二十三年八月、ストツクホルム開催の第十七回赤十字国際会議に出席する本社代表派遣費用に充てられ、残額は別表の通り一二、三六九・七二瑞西法(二、八七六米弗)となつている。
 なお、本件に関しては、昭和二十二年十月、総司令部より米国赤十字派遣本社顧問を通じて本資金の管理は国際委員会によつて行われているのであるから、日本の在外資産と認めない旨の通知があつた。もつとも、日本赤十字社は、総司令部の事前の承認を経て、本件資金運用に関し、委員会の提案に協力することができる旨決定された次第である。

       在ジユネーブ日本赤十字社救済資金残高(昭和二十四年二月二十二日現在)
資産の部
一、ジユネーブにおける残高  五、〇〇〇・〇〇瑞西法
二、ペルー在住邦人救済資金 二二・〇四九・〇〇
三、南方地区抑留邦人救済物資  六、一八三・九五
四、同  五、〇〇〇・〇〇
   計 三八、二三二・九五
負債の部
一、戦時中抑留邦人通信連絡費 二五、八六三・一八
1 郵便料金負担  五、五一七・〇〇
2 電信料金負担 二〇、三四六・一八
    計 二五、八六三・一八
   差引金額 一二、三六九・七七
      (米貨換算  二、八七六弗)
      (一瑞西法   四、三米弗)