質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第六十一号

内閣参甲第六一号
  昭和二十四年四月二十二日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員姫井伊介君提出生活保護者の子女の高等教育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員姫井伊介君提出生活保護者の子女の高等教育に関する質問に対する答弁書

 日本育英会は、御承知のとおり優秀な学徒であつて経済的理由から修学困難な者に対して、学資の貸与を行つてその学業を完成させ、将来社会のために貢献できる人材を援助することを目的としておりまして単なる社会事業とは趣が異なるのであります。
 しかしながら、今日本会が奨学生を採用するにあたりましては、従来の学業中心主義を大きく緩和しまして、その学生の家庭的境遇及び社会的立場について十分な考慮を加える方向に進んでおります。たとえば昭和二十三年度における奨学生新規採用者は、その九%が戦災者、一四%が引揚者、二五%が未亡人等の子弟でありまして、約半数の者がこのように家庭的、社会的条件を考慮されております。
 したがつて生活保護をうけている者の子弟も採用されておりますし、将来も申込がありますればこれらの恵まれない人々を努めて好意的にとりあつかう方針であります。しかし、予算上きわめて少数の奨学生を採用するにあたつて、あらかじめ一定のパーセンテージによるわくを設けることにつきましては、本会の運営上いかがかと存じます。
 しかしながら、本会が十分な予算をもつてより多数の学生生徒を採用することになりますれば、当然この点が解決されるものと存じますから、政府としましては、本会の事業拡張のために今後一層の努力をいたす所存であります。