質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第三十四号

内閣参甲第三七号
  昭和二十四年三月二十九日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員太田敏兄君提出米価のパリテイ方式に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員太田敏兄君提出米価のパリテイ方式に関する質問に対する答弁書

 工業生産物の価格と農産物価との間にシエーレが存すると論ぜられることが多いが、しからば何時を基準として論じているのかは必ずしも明瞭ではない。
 今日パリテイ計算の基準年次として採用せられている昭和九年乃至十一年は昭和初年の経済恐慌も一応おさまつて景気は恢復期にあり、又日本が戦争状態に入る前の年次でもあり、我々が過去において日本経済或は日本の農家経済が比較的安定していた年を求めるとすれば、この時期が最も適当と考えている。
 又今日パリテイ計算を採用していることについては、戦災の影響による特殊な事情により比較的割高となる工業生産物の価格とのパリテイにおいて比較的戦争の影響を蒙ることの多くなかつた農産物価絡を決定することは農産物価格にとつて有利だという考え方もあり得るのである。
 なお又基準年次以後における農工産物の価格は、戦争経済の進行に応じつつ夫々大体同じような上昇を示したが、特に最近時におけるインフレの影響が、米価決定後に農家の購入品の価格を騰貴せしめることから生ずると言われる両者間のシエーレの問題については、所謂パリテイ指数の変動を見て一定時期において米価等を改訂する措置(昭和二十二年産米以降米及び麦については収穫時に第一次価格を決定し、その九ケ月後にパリテイ指数の変動を見て最終価格を定めた上その第一次価格との差額を追加払いする方針になつている)をとることで解決できると考えている。