質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第二十五号

内閣参甲第三〇号
  昭和二十四年三月二十四日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員池田恒雄君提出土浦飛行場等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員池田恒雄君提出の土浦飛行場等に関する質問に対する答弁書

第一、霞ケ浦海軍航空隊

1 財団法人霞ケ浦農科大学
a 土地
 地目 元地目不明、引継当時は宅地
 面積 四万五千百五十一坪
 価格 台帳価格(三万六千百二十円八十銭)
 賃料(貸付料)年額 六万七千七百二十七円七十一銭
b 建物
 種類 事務所建、倉庫建、雑屋建
 棟数 七十八棟
 価格 台帳価格 二、八七七、二九六円一〇銭
 賃料 貸付料(年額)六〇一、二三六円三九銭
利用状況
 土地は建物敷地及運動場、その他に使用
 建物は学生の教室、講堂、事務所、その他
 土地、建物の価格については別紙目録(甲)を参照(本参照はこうかんな書類のため印刷を略す。)

2 新日本食品工業株式会社
a 土地
 面積 二四、二四三坪三一
 価格 一九、三九四円四六(台帳価格)
 地目別面積 全部宅地
 払下価格 土地 四八四、八六六円二〇
b 建物
 種類 工場建、倉庫建、事務所建、雑屋建、附属工作物
 面積(延坪)四、五五三坪一四七
 棟数 三十四棟
 払下価格 九、八六一、三三〇円〇〇

3 農林省
 緊急開拓として所管換面積 二七五町六七
 事業概要
  一〇〇町歩 開田
  一二八町歩 開畑
  四七町六反七畝 その他
  新規入植戸数 一二〇戸
  地元増反戸数 一六二戸

4 茨城県農業会
a 土地
 面積 二七、六九三坪
 価格(台帳)三八七、六〇〇円〇〇
 賃料(年額)三四、六一六円二五
利用状況
 右土地上には建物十六棟(建坪約一、九〇〇坪)あり、農耕開拓事業のため使用中であるが農業会解散後は夫々売払処分する方針である。
  建物の賃料(年額)二四六、九〇四円三七

5 舟島村外二ケ村
 新治共同病院の使用
a 土地 価格(台帳価格)六六、九七八円
  賃料(年額)二、九四〇円
b 建物 価格(台帳価格)一六二、八九〇円
  賃料(年額)三八、二一二円三二

6 鹿島参宮鉄道株式会社
a 建物売払代金      四一、一四〇円
b 茨城県農業会      四一、四〇〇円
c 市場中学校P・T・A 六五〇、〇〇〇円
d 東京都        五五九、九五〇円
e 株式会社山本組    五六〇、〇〇〇円

第二、土浦海軍航空隊

1 財団法人霞ケ浦農科大学
a 土地
 地目 元地目不明、引継当時は宅地
 面積 二八、九八九坪一六
 価格(台帳価格)七二、四七二円五〇
 賃料(年額)四三、四八三円七四
b 建物種類
 事務所建、倉庫建、雑屋建
 棟数 二十七棟
 価格(台帳価格)八六六、〇八三円五〇
 賃料(年額)一四一、九六一円九九
利用状況
 同大学の高等学校々舎及附属事務室運動場として利用
 土地、建物の明細については別紙目録(乙)参照(本参照はこうかんな書類のため印刷を略す。)

2 財団法人日本体育会
a 土地
 地目 元地目不明、引継当時は宅地
 面積 六九、七三〇坪六四
 価格(台帳価格)一七四、三二六円六〇
 賃料(年額)一〇四、五九五円九六
b 建物
 種類 事務所建、倉庫建、工場建、雑屋建
 棟数 四十九棟
 価格(台帳価格)一、八九五、八四二円〇〇
 賃料(年額)四〇五、八一七円八〇
利用状況
 日本体育専門学校々舎、寄宿舎、及附属中学校々舎、運動場等に使用
 土地建物の明細については別紙目録(丙)参照(本参照はこうかんな書類のため印刷を略す。)

a 筑波郡旭村一棟七四六、七〇〇円
b 菅生村、守谷村、坂手村三棟八七六、一七〇円
c 君原村二棟四七七、三〇〇円
d 筑波郡旭村一棟四七、六三〇円
e 日本郵便逓送株式会社一棟二四四、四五〇円
f 釧路倉庫株式会社一棟二、一九九、一〇〇円
g 片岡芳之助一棟九九八、八八〇円

第三、第一海軍航空廠

1 日本貿易運輸株式会社
   賃料(年額) 土地    一〇、七八七円四八
          建物   二三三、一一三円九二
2 北相馬郡守屋町
   売払     建物     七五四、五九〇円
3 鉄道車輌株式会社
   賃料(年額) 土地     八、九一二円五六
   建物           七四、七四四円九五
4 財団法人後樂園スタヂアム
   売払     建物 九、〇〇〇、〇〇〇円〇〇
5 阿見町
   売払     建物 一、三六二、九四〇円〇〇
6 財団法人世界平和建設団
   売払     建物 二、九七二、九九〇円〇〇
7 土浦市
   売払     建物   一五六、四二〇円〇〇
8 櫻川紡績株式会社
   売払     土地   二一一、〇三二円二〇
          建物 一、七一八、三八〇円〇〇
9 横浜市
   売払     建物   四八〇、四〇六円〇〇
10 朝鮮国際事業総連盟本部
   貸付     土地(年額)一八、〇七三円三八
   建物       (〃 )六一、六五四円八二
11 東京鉄道局
   貸付     土地(年額) 七、九四四円八〇
          建物(〃 )五五、二九九円四〇
12 土浦女子商業学校
   貸付     土地(年額)   借    地
          建物(〃 )四八、九七〇円〇〇
13 笠間町
          売払    七〇、七七〇円〇〇
14 舟島村(水戸地方部処理したもので問合せ中)
   売払
15 中村(水戸地方部処理したもので問合せ中)
   売払
16 浮島村
   売払          二六九、六九〇円〇〇
17 茨城県
   売払     建物   二二一、八一〇円〇〇

第四、農科大学と日本体育会について

1より4までの事項
 右学校の設立誘致については地元前町長等が、軍解消後における町の発展性を考慮し、学園都市としての計画の下に本省並びに現地管財支所に呼びかけ再三協議を遂げ、国有財産中央処理委員会において決定したものである。而してその後利用状況その他を調査したる結果、両校共その使用効率十分でなく、過大に思われる点もあるので、使用状況その他につき種々注告を与え且つ右範囲(土地及建物)の縮小乃至使用廃止方について交渉中である。今後その使用状況その他について当初の計画又は目的に添わない点があるならば、適当な措置をとりたいと考えている。
 右につき文部省としては次の如く考えている。
霞ケ浦農科大学
 本学は農学部をもつ単科大学であるが、大学はその本質上又使命に鑑みても各学科に分れての研究、実験、実習等の設備のために相当広大な土地建物を要するのであり、特に農学部においてはより以上にこれらのものを必要とすると同時に相当な農場の必要なことは御承知の通りである。
 ために本学においても現在は予科生徒四百八〇名であるが本年四月よりは学部も開設し定員九六〇名として農学科、農芸化学科、農業工学科の各面に亙つてその研究に着々邁進し最高の農業教育を施し新しき農業指導者を育成し斯業における学術の蘊奥を攻究し農業の改良進歩に貢献せんとしている。なお附属の高等農業学校も設置している。なお他の同系統の大学に比して本学は土地建物とも必ずしも広大なものではないのであつて、少くとも現状の建物及土地は前述の理由によりまして必要なものであると考えられるのである。
日本体育会
 日本体育専門学校は現在本科一、二〇〇名補習科二〇名を収容し本年四月からは私学唯一の体育大学として発足し高等の理論と実際を中心としてひろく知的、道徳的に教養の高い体育指導者を養成し指導者七、〇〇〇名の不足を補うと共に心身共に健全な国民の育成をなし日本再建を図ろうとしている。そのため学生の教育実習のために中学校を二校、高等学校を二校附設する計画をもつており六九、七三〇坪土地一〇、四五二坪の建物は是非必要と考えられる。

第五、新日本食品工業株式会社等について

 右会社に対しては当初一時使用は国有財産処理委員会において決定しその後売払に移行したものである。右は会計法その他の規定により合法的に処理したもので、利益提供、ブローカー云々の点については関知していない。

第六、農耕地復元について

1 旧軍用財産の処理は、民生安定、経済再建、教育文化等の興隆のため綜合的見地において貸付処分しているのであつて施設の現状その他を綜合勘案し且つ地元の意見等も徴して効率的運用を図つている。(大蔵省)
2 土空の構内(練兵場)は農林省及び当該農地委員会の決定に基いて農林省へ所管換をしたものである(大蔵省)土空地区の中三六町九反一畝は開拓適地として開放され、昭和二十年度より着手して開田を行つた。残余の面積については、農耕適地の開放について努力したい。
 霞空地区の開田計画は、二七五町歩の中一部一〇〇町歩を開田し、その他を開畑するもので、土空地区とは別個に考えられ、土空地区の開墾を抑制して霞空地区に力を注いでいるようなことは認め難い。霞空地区についても、開拓の価値ありとみとめて実施しているのである。(農林省)
 霞空内における軍所有でない六町ほどの水田畑に関する占有の有無及び耕作阻害の件については早急実地調査の上事実であれば直ちに適当な措置を講じたい。
3 かかる事実はない。
4 政府は旧軍用地中農地になる土地は強力に所管換して農民に耕作させるように努力している。(農林省)
5 農地に関しては、農林省及び当該農地委員会の意見を尊重している、農地復元を阻止するようなことはない(大蔵省)
 農地改革の徹底は行つているが、近く茨城県に対しては、実態を調査して強力に遂行させる。(農林省)

第七、軍の装備その他について

1 戦闘用装備は連合軍へ引渡したもの(書類焼失のため詳細判明し難い)の外は、廃兵器として兵器処理委員会によつて処理せられた。その数量等は別紙「土浦、霞ケ浦、鹿島各航空隊に所属せる旧軍需物資調書」(兵器処理委員会引継分)記載のとおりである。(別紙調書はこうかんな文書のため印刷を略す。)
(注)
 終戦時の保有量は各部共書類焼却のため詳細且つ正確には判らないが、連合軍最高司令官一般命令第一号の指令に基いて終戦後作製した資料がある。この資料整理区分は第一海軍航空廠の外は横須賀地方全般として集計してあるので参考にならないと思う。又これを当該地区の分のみを分割し整理区分することは相当の日時と予算を必要とするので早急に調査することは困難である。(復員局)
2 別紙「土浦、霞ケ浦、鹿島各航空隊に所属せる旧軍需物資調書」記載のとおりである。

第八、文化、産業の復興について

1 旧軍事物件は現下喫緊の要請である民生安定、経済再建、教育文化の振興等に優先的に充当せしめる方針で進んでおり、直接的又は間接的に地元民に寄与せしめていると思われるが現在の経済事情その他から財産が充分な効率をあげていないため事実上未だ具現されていない向も見受けられる。
2 食品会社、紡績会社、学校等が将来それぞれ各施設の整備を得て興隆、発展するにいたらば、地元民としても直接、間接少からぬ利益を受けるものと思われる。