質問主意書

第5回国会(特別会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参甲第九号
  昭和二十四年二月二十三日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出児童福祉実体に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出の児童福祉実体に関する質問に対する答弁書

一、児童福祉法は御承知の通り、昨年四月一日より全国的に施行され、その目的とするところを達成するよう着々努力を重ねているが、住所不定の児童即ち、所謂浮浪児については、昨年十一月、国家地方警察本部、文部省、運輸省、労働省と提携して「浮浪児根絶緊急対策要綱」を決定し、その一掃を計画している。
 第一に浮浪児が多数存する都道府県の地方児童福祉委員会に浮浪児根絶のための特別部会を設け、管内の浮浪児の現状を調査して、その根絶対策を審議するとともに関係諸機関の相互の密接な連携を図り、第二に浮浪児の背後にあつてこれを利用している者を厳重に取締り、これらの者と浮浪児との因縁関係を切断し、第三に一般国民に対し、浮浪児保護に対する真の理解を徹底し、安価な同情を排し、第四に浮浪児に対する保護取締を連続反覆して徹底的に行い、第五に特に犯罪性のある浮浪児は、少年審判所(現在の家庭裁判所)に送致し、その他の浮浪児は、児童相談所を経て、養護施設又は教護院に収容するか、あるいは児童福祉司児童委員等の指導に附することにしている。
 例えば、大都市において浮浪児の蝟集する地域は、概ね、駅、盛り場、闇市等の特定の地域に限られているから、これらの地域を中心として浮浪児根絶の啓蒙を行い、列連内の浮浪児については、鉄道公安官及び車掌をして、発見次第最寄の中央児童相談所所在地駅長に引き渡させ、中央児童相談所長に対しては、当該駅長と密接な連絡をとるように指導している。又、収容施設に入所した児童に対しては、愛情をもつて処置し、浮浪児の施設内の生活に対する興味を喚起するよう努力し、逃走性のつよい浮浪児に対しては、科学的方法により、その浮浪性の除去につとめている。勿論現存の施設の中には、その内容が浮浪児保護につき、不十分なものがあるから予算の許す限り、速かにその内容を整備するとともに必要な収容施設の拡張を図ることはいうまでもない。現存の浮浪児の多くは、極めて浮浪性のつよい者であるから反覆して、その保護を徹底し、一般家庭に対しては、あらたに浮浪児を発生せしめぬよう、不良化防止の運動を展開するから、上にのべた諸対策と相俟つて所期の目的は達成されることと思う。