質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第八十二号

出荷、荷受機関の濫立と協同組合理念の相克についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年五月六日

青山 正一      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   出荷、荷受機関の濫立と協同組合理念の相克についての質問主意書

 水産業協同組合は現在においては、全国的に未設立であり、成立迄に尚、多少の時間的間隔がある。しかして、この設立迄の間隙、と府県食料市場取締法規の成文化の遅延を覗い商業資本を背景とした一部が、殊に漁業協同組合に加入出来ない会社あるいは、非漁業者が自己の勢力温存のため出荷あるいは、荷受機関の登録を申請する傾向が各地に擡頭しており、更らに大都市所在の荷受機関の集荷競争の激化に伴いそれ等の機関が、実質的に産地へ進出する動向も愈々顕著となつている。
 水産物配給規則制定以来満二ケ年を経過しその間必要とするものは凡て公認機関として発足を了し寧ろ濫立の弊なしとしない現在、今後の登録申請こそは水産業協同組合設立迄の間隙を覗う火事泥的な一部の策動と視る他はない。
 他面水産業協同組合は、その目的として漁民の協同組織の発達、経済的、社会的地位の向上と生産力の増進を企図している、所謂協同組織を通じてのみ右諸目的を達成することが可能なりとしこの協同組織の育成強化を図ることを以て日本漁業の再建の基礎たらしめる方策が漁業政策の基本をなしている。
 しかるに上記一部不純分子よりなる出荷、荷受機関を公認することにおいて零細漁民唯一の協同組織は破壊せられ民主的なる漁村の根底は覆滅することは必至であり、殊に大消費地荷受機関の産地進出の弊は、この傾向に更に拍車をかけるであらう。
 一部の野望を満すために漁村協同組合理念を蹂躙することは政府の指導方針を逆行し協同理念育成の目的をも政府自ら失うものと考える。

  これに対する政府の所見を承りたい。