第5回国会(特別会)
質問第七十二号 引揚開拓民の入植についての質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和二十四年四月十九日 北條 秀一 参議院議長 松平 恒雄 殿引揚開拓民の入植についての質問主意書 引揚開拓民の入植について第五回国会の施政方針演説に対し質問し、その本年度計画についての政府の方針は一応明らかにされたが、更にこれについて今日迄の実績及び本年の計画の完全実施のために次の質問をする。 一、終戦後の新規入植の実績について イ、国内の一般入植者の数、開墾面積、経費(政府融資額及び補助額並びに入植のために政府の必要とした経費の内訳と金額)及び落伍者の数と落伍の理由 ロ、引揚開拓民入植者の数、開墾面積、経費(政府融資額及び補助額並びに入植のために政府の必要とした経費の内訳と金額)及び落伍者の数と落伍の理由 二、本年度引揚開拓民一〇、〇〇〇戸の入植を実現するとのことであるが、過去の例に徴すると、各県においては農林省の指令と反して、ともすると在来県民の二・三男の入植を優先せしめる傾向が強かつた。これでは何年しても引揚開拓民は入植完了しないので、本年度は特にこの点に留意し、一〇、〇〇〇戸入植は引揚開拓民に限定するよう格別の指令を発する等の措置を講ずる必要あること当然のことであるが、政府にその準備ありや 三、本年入植し得ない六、五〇〇戸の引揚開拓民の積極的救済について何等かの準備ありや 四、引揚開拓民に対しては勿論であるが、その他在来農戸のために例えば但馬牛の如き特産地帯に対して家畜の預托制度を設けることは最も有効なる政策であるが、政府は、預托制度を実施する考えはないか 五、入植者に対する現物貸与の現行方法は、合理的でないものがある。例えば青森県の如きは炭酸カルシウムの特産地であるにかかはらず、その給供を東京から行つているが、かくて炭カルは青森、東京間の往復の運賃をその配給価格に編入される。又東北六県及び北海道の馬橇等の如きは夫々現地で生産することが技術と経験からしても合理的であり有利であるにもかかはらず、これを東京等にて製作して発送するために途中運送経費や破損を生じている現状である。これらの不合理は直ちに訂正する必要があるが、本年度の実施方針を承りたい。 |