質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第四十九号

農業所得税納期の特例に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年四月四日

池田 恒雄      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農業所得税納期の特例に関する質問主意書

一、農業所得税の納期を八月と一月の二回にするようにしてもらいたいという意見が、農民並びに農民団体の間に有力になつているが、政府はこれらの意見に対して、どのような見解をもつているか、発表されたい。
(註―全く水田一毛作の地帯では年一回一月を希望している。)

二、右の質問主旨について、私が農民並びに農民団体等からうけとつた意見を参考までにいうと次のようである。
(1) 現行法規の特例は非実用的である。
(2) 特に署長の認定に待つことに規定されているので、実際においてこの特例の適用をうけることは困難である。
(3) 農家一般は一月から四月までは殆ど収穫という物はない(近郊蔬菜農業を除いては)だから四月に納税させられることは無理である。
 また、四月は更正決定でサンザンしぼられた直後で、たたかれても鼻血もでない有様であり、しかも肥料代その他の生産資金をサイカクしなければならぬときである。生産資金(手形)などを借りて実際には税金に廻している人もある。
(4) 夏作物が実際に収穫されるのは、ものによつて五―六月ごろからである。がそれは少量である。六―七月が収穫の中心季である。夏作の主たる収入はマユや麦類、馬鈴薯であるが、これが実際に収穫されて、供出され、現金が生産者に入るのは七―八月である。だから、七月に金を納めることは困難である。殊に六-七月は田植、麦刈、田の草、麦の調整、供出、馬鈴薯の収穫、供出、甘藷の植付、手入といつたことで、申告だの、納税だの五月蝿くて困るというのである。なんで政府はたつた三〇日ばかり待てんだらうといつている。
(5) 十―十一月は秋の農繁期である。そしてこの期節は最も金のない時期であり、新旧飯米が交替するときである。俵を積んでも未だ金が入らないし、麦の蒔きつけのために資金の必要なときである。このように何故百姓が生活にも困り、他所に金を必要として借金までするときに、税金などよこせと、高利貸みたいなことをいうのかといつている。
(6) 実際において、甘藷、米等の供出代金が入つて来るのは一月以降である。

三、申告も、七月とか十月とか忙しいときは、迷惑千万である。百姓は働いてこそ税金も払えるのであるから、政府も税金がほしかつたら仕事の邪魔だけはしない方がおんとうだらうというている。
二―三の税務署について係りの人々や署長等に見解を聞くと、現行法規では止むを得ないから、仕方がないが、出来るなら八月と一月位にしてもらいたいと、農民側と同一見解を示している。
殊に四月は、三月末の更正決定のあとが、続いているので、事務上からみて、非常に助かるといつている。