質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第十七号

農業所得税に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年二月二十八日

池田 恒雄      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農業所得税に関する質問主意書

一、私は二月十二日付質問第九号によつて四つの項目について質問した。
 これに対し、二十三日付内閣参甲第一二号によつて政府の答弁を得たのであるが、一―二の項目については、実情調査の上回答するという答弁であるが、二―三の項目については答弁がない。
 それで再度この質問書を提出する。

(1)咋年中、私、または私を含む農政研究会の代表が大蔵次官、その他の役人に農業所得税問題について何べんか会見している。
 その会見等で、当局の人々は「今後所得計算の標準を作成するに当つては、農民団体の代表者と相談して課税の方法の改善を図る、そして前回のような好ましくない事態の発生しないようにする」という所信を表明されている。
 しかるに二十三年度確定申告に当つて現地税務署は旧態を改めておらない、そして高圧的に課税標準を押しつけている。
 私はこの事情を訴えて政府の意見を求めているのである。

(2)また所得標準率は、この際収税当局が便法として採用している方法である―とは第二国会にて大蔵省当局がくり返し説明されていることである。
 便法は政府が一方的に決定すべきものではない。あくまでも、和解的に協力的に作成し、運用すべきものである。何故なら収税当局も納税者も法の下に対等であるからである。
 しかるに、今日収税当局が一方的に標準を作成して納税者に指示し、反省する態度のないのはどういう説かそれを聞きたいのである。

(3)大蔵省は「農業所得に対する所得税の実務要領」を頒布したという答弁であるが、これでは私の質問に対する答弁にはならない。何故ならそのものは私を含む一般納税者には頒布されてはいない。
 私は前質問書において、今日でも収税吏が天皇の官吏という指導精神をもつていないか、またそのようなものを裏面に堅守してないかを聞いている。今回の政府答弁もそれを裏書している。内容のない答弁がそれである。
 私は天皇の官吏に質問しているのではない、国民の公僕たる自覚ある答弁を求める。