質問主意書

第5回国会(特別会)

質問主意書


質問第十四号

農業所得税計算要領に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十四年二月二十一日

池田 恒雄      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   農業所得税計算要領に関する質問主意書

 昨年七月七日大蔵省主税局から財務局宛出された文書「農業所得税計算要領」中左記のような事項について質問いたします。

一、この文書の中にある「所得標準率」ということは、どういうことか。

二、そして、この所得標準率によつて所得を計算する場合は、緑肥、籾穀、麦桿等を殆と農家の自家用に消費する地域については、これらを収入金額に見積らないとあるが、どういう勘定方法からこのような規定がなされたか。

三、緑肥、籾殻、麦桿を自家用に消費する地域ということを特に規定しているが、農業地理上の区分か、自家用に消費する地域とか、自家用に消費しない地域という区別のしかたは、どうした方法によるのか。

四、公租公課について、

(1)耕作反別税、水利地益税とは、どういう税金か、そしてどの地方にて実施されているか、
(2)第二種事業税は必要経費に算入されないかどうか、

五、農具について、

(1)耐用年限二ケ年以下の小農具とは、いかなる種目の農具か、
(2)耐用年限二年以上の大農具とは、いかなる種目の農具か、農具別にその耐用年限を示されたい、
(3)農具の耐用年限はいかなる方法に準拠して決定されるものか、

六、減価償却について、

 減価償却は取得価格を基礎として計算するとあるが、これは大変な間違いではないか、減価償却は、その理論上からして、時価によるべきものである。実際上では、価格変動が見られない情勢の時代には取得価格によつたとしても支障ないことになるが、今日の時代のようにはげしい価格の変動が見られ、しかも廃棄価格が取得価格を上廻るといつた物も現れている場合に、取得価格主義による償却は、事実償却しないことを意味し、農民に重税を押しつけるというよりも、農民資本を強奪することを意味するものである。何が故にこのような惨ぎやくなる掠奪方式によつて課税するのか。

七、土地改良について、

 土地改良事業と土地の価値を維持する程度の事業とはどのように区別されるか、
 具体的な技術上の例示によつて説明されたい。

八、経営費その他について、

 農業生産上の必要経費としては、直接生産に費消する経費の他に、小農生産の場合でも大企業の場合同様、程度の差こそあれ、事務費とかその他その生産の主体たる経営上に支出する経費がある。また生産設備、労務等の維持管理または保全のために費消する経費もある。これらの経費について勘定科目を設けないのはどうした訳か。

九、農産物と生産諸資材の価格について、

(1)農業生産場(加工品その他を含む)等農家の収入となる物の現行公定価格と闇価格を説明されたい。
(2)家屋、農具、家畜、その他農業生産の必要経費の勘定に入る諸資材の最近数ケ年間の公定価格と自由販売価格を説明されたい。

十、農家に対する配給品と自由売買品について、

(1)今日農家が配給制度によつて配給を受けている物資の種目、価格、数量を説明されたい。
(2)今日農家が配給外に、自由に購入している物資の種目、その価格、それらの物資の購入数量、また市場への出廻りの状況を説明されたい。