質問主意書

第4回国会(常会)

答弁書


答弁書第十二号

内閣参甲第二一二号
  昭和二十三年十二月十七日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員中西功君提出争議に対する地方官憲の不法関与に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西功君提出争議に対する地方官憲の不法関与に関する質問に対する答弁書

 労働争議に伴い発生する刑事々件の処理について法令の励行による秩序の維持を目的とするとともに、厳正公平を旨とする方針を堅持すべきことは、検察官及び警察官に対して従来から絶えず注意を喚起して来ているところであり、最近における地方官憲の傾向として労働争議に対する不法な干渉及び労資に対する差別的取扱を行つているということは認められないと思う。
 旭化成延岡工場の争議に伴い発生した事例については、今日までに名誉毀損罪又は暴力行為等取締に関する法律違反として合計五名の労働者が順次起訴されていることは事実であるが労資双方の告訴は他になお数件あり、すべて現に捜査進行中であつて、関係当事者の如何によつて差別を加えているものとは認め難い。又九月二十七日以降十月十一日迄の間における検挙は、同工場における二つの労働組合員の間において行われた暴行の現場において、現に暴行中の者を逮捕したものに過ぎない。
 なお、労働省が、質問主意書一の(ハ)に記載されたような不当な措置を認めている事実はない。
 しかしながら、今後とも御趣旨のような弊害の発生を見ないように政府において十分注意を払うことは勿論である。従来労働関係法規の適正な解釈については、機会あるごとに訓示指示等を地方官憲に発し或は労働省から労働法規の解釈例規等を発表する等の措置をとつているのであるが、今後なお一層これらの措置を進める考えである。