質問主意書

第4回国会(常会)

質問主意書


質問第十二号

争議に対する地方官憲の不法関与に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十三年十二月十二日

中西 功      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   争議に対する地方官憲の不法関与に関する質問主意書

一、最近労働争議の瀕発に伴い地方検察警察官憲の「不法な争議干渉行為」及び「争議を労組側に著しく不利ならしめるような積極的消極的取扱」が極めて増加しているが、宮崎県延岡市旭化成延岡工場の例をとれば
(イ) 争議に直接関係ある組合側の傷害事件の告訴が今もつて不問に付されているにもかかわらず、右告訴事件に伴い発生した名誉キソン事件に関する会社側の告訴のみを起訴した事実。
(ロ) 九月二十七日三十日十月十一日組合側の正当なる争議行為としてのデモ、ピケツトライン等に対し、鈴木検事、井上警察署長等地方官憲は刑法、軽犯法、暴力行為取締法等の適用をもつて、威圧を加え、会社側の計画的跳発により生じた混乱に乗じて組合側のみの一方的検束をくりかえした事実。
(ハ) 会社側の労働協約の一方的破棄、争議中の給料の差別支払、組合文書の貼出制限等基準法、労組法、労調法等は会社及び官憲によつて、全く身勝手に解釈され、無視され、しかも労政当局もこれを認めている事実。
 等数多の例があるが、これは単に旭化成に止らず、近時労働争議を通ずる問題である。

二、政府は

(イ) これらの事実を認めるか、各項別に回答されたい。
(ロ) このような地方官憲の不当な処置は今後、労働問題、ひいては日本民主化に極めて「重大な結果」を招くこととなるが、これを如何に考えるか。
(ハ) 一般に地方官憲の(一)「関係法律の立法の趣旨の一方的且不当な拡大解釈、」と、(二)「買収を前提とした官憲と会社側の意を通じた悪質な計画的行為」は最近続々摘発させつつある財界、政界、官界の汚職行為事件に徴して、極めて常識的に予見せらるるところであり、政府は当然その責任において、予め厳重に地方官憲に対し、戒しめておくべきであるが、このような処置をとつてあるならば、その事実を(一)、(二)各別に示されたい。もし怠つているならば、直ちに処置をなすべきであるが政府の所見如何。