質問主意書

第3回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参甲第一六九号
  昭和二十三年十一月二十日

内閣総理大臣 吉田 茂      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員油井賢太郎君提出亜炭鉱業に対する政府の処置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員油井賢太郎君提出の亜炭鉱業に対する政府の処置に関する質問に対する答弁書

一、坑所貯炭については規格外等のものを除いて全量買い取ることとし目下その数量を調査中である。

二、公団が買い取つた坑所貯炭の処理については原則としてこれを直ちに生産業者に売戻し生産業者をして販売せしめるのが適当であると考えるが、売戻後に生産業者が事業を休止したような場合には売戻代金の回収が不能となる恐れがある。従つて復金が公団に対し坑所買取資金を融通することは一部赤字融資となる懸念があり、最近の赤字融資停止の原則と牴触するので目下関係方面と協議中である。

三、公団統制当時に於ては赤字融資との関連に於て亜炭の買取を禁止したことはない、坑所買取に関連する融資の経緯については前項に於て述べた通りである。

四、亜炭の生産者価格は地区(A、B、C)規格(特一級、特二級、一級、二級、級外)及び炭種(標準塊、切込、粉)によつて異り四十五種に分かれている。価格算定の基礎となつたのはA地区の特二級切込で単価一、二二〇円であるが、そのA、B、C地区平均は一、二八〇円である、特二級切込の配炭公団販売価格は着駅貨車乗渡し又は岸着渡しで二、三三〇円になつているが、それは生産者価格に運賃関係約七〇〇円、欠斤料約二五〇円、公団手数料約七〇円、其の他(プール平準資金及び金利)約四〇円合計一、〇六〇円が加つて構成されているからである。公団が亜炭を取扱うことによつて損失を蒙る主なる原因は欠斤及び貯炭中に生ずる風化損が炭価の中に織込んでいる欠斤料二五〇円を遥かに上廻る点にある。但し此の御質問の赤字は貯炭買取によつて生ずる赤字を指すものとも思われるが、その場合には二に述べたところを参照願いたい。

五、公団統制停止以後に於ては生産業者は生産者価格に運賃等の実費を加えた程度で販売出来るので、従来の公団販売価格より相当下廻ることとなり、石炭価格との釣合がとれて亜炭の需要が旺盛になるものとみられている。従つて差当り価格補償金等を考慮する必要はないと考えられる。

六、繋ぎ資金については、復金保証による市中銀行融資を行う方針の下に関係方面と折衝中であるが、別に日銀斡旋による市中融資の方法も進めている。