質問主意書

第3回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二十一号

衛生白衣類配給に関する質問主意書

右の質問趣意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和二十三年十一月十八日

井上 なつゑ      

       参議院議長 松平 恒雄 殿



   衛生白衣類配給に関する質問主意書

 第二回国会に於て「看護服並びに予防衣の特別配給に関する請願」を満場一致可決し之を内閣に送附したことは未だ我々の記憶のうちに新しく存するものである。
 当時厚生委員会での政府委員の説明では「看護婦の看護衣並びに予防衣は衛生的見地からして絶体に不可欠のものであるから、極力之が獲得に努力する。先ずその手初めとして、本年第一期に二十万ヤールの白布を、予防衣に製作し之を医療関係者に配付、続いて第二期の二十万ヤールを看護衣に製作の上全国の看護婦に渡る様にする」との説明があつた。
 又商工省繊維局長は、全国の看護婦のために九万着の看護衣を製作配付の計画中であるからとの快報をもその後間もなくもたらされたのである。
 然るに昨今、闇市場には、普通の看護婦の手の届かない高価で看護衣は横流しされて居るとのことであつて、昼夜真面目に、患者の看護に、伝染病予防に努力する看護婦には、一枚の看護衣の配給もないとのことである。
 一体、政府で計画中であつた、四十万ヤールの白布、九万着の看護衣は何れに行つたのであるか伺いたいのである。
 聞くところによれば、或る病院の院長は、看護婦達に、此の病院から白布を出して看護衣を作つてやつたのであるから、看護婦たちは礼を云うべきであると云つたとか。又、たまたま配給のあるその様な白布は何れにあるのであろうか。或る県では、看護婦達に看護衣を配給するが、受領証に記載数の二割の看護衣は、県に残せ、残さなければ配給停止を行うと云つたとか、その二割の看護衣は一体何れに使用せられるのであろうか。
 又保健婦看護婦達に、その人達に不可欠な衛生白衣類配給不円満の因は参議院議員の活動の不活発にあると宣伝する当局の要路者もあるとのことである。
 要するに以上のことからは、とりもなおさず、昨今の我国の世相の一端を表わしたものであるが、いやしくも、民生安定の事務を処理する人々が、かかる不可解な行動を敢てなす時に於ては、国家再建もおぼつかないのである。
 政府に於ては、早速事の真相を明らかにし、医療関係者並に其他白衣着用者に対する現在の配給方法並びにその状況及将来の配給計画をも併せて明示されたいのである。又当局の要路者へは、いやしくも国民を欺瞞するがごとき行政のない様充分に善処せられたく希望する。

  右書面解答を願いたし。