質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第四十四号

内閣参甲第五二号
  昭和二十三年四月六日

内閣総理大臣 芦田 均      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員北條秀一君提出引揚者問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員北條秀一君提出引揚者問題に関する質問に対する答弁書

 敗戦により海外より引揚げて来られた引揚者、復員者は現在までのところ五百八十余万名の多数に達して居り、尚海外残留の七十五万名の引揚が完了いたしますれば総計六百五十万余名と相成りその重大性につきましては、洵に御指摘の通りでありまして、政府といたしましてもかねてより大いに関心をもつているところであります。而してこれらの引揚者は何れも或は永く海外にあつて粒々辛苦の生活をされ或は家族を置いて異境に転戦された方々でありまして、その並々ならね御労苦に対しましては深甚なる御同情を禁じ得ないのであります。殊に敗戦の結果国土の荒廃の著しい現在内地に定着後もその大部分は不安なる生活を続けられていることと存じその対策の緊要さを痛感いたしているのであります。かかる観点から政府におきましては夙に引揚援護院を設置いたしまして、引揚者の応急援護並に検疫及び定着援護に対する中心機関といたしているのでありまして必ずしも形式的な無差別平等に捉われているものではないことを御了承頂きたいのであります。又国会におかれましても本問題のため特別委員会を設置されて特に御審議願つていることは洵に感謝に堪えないところでありまして今後とも益々御忠告を頂戴いたしまして本対策の充実に努めたいと思うのでありますが目下のところ今年度におきましては上陸地における被服類の増加支給応急援護金の増額並に定着地における生業資金の充実無縁故者住宅の増設等に努力いたして引揚同胞各位の要望に応える心組で居る次第であります。