質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第四十三号

内閣参甲第四四号
  昭和二十三年四月六日

内閣総理大臣 芦田 均      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員宿谷榮一君提出米、麦、馬鈴薯、甘藷及び一般農作物の病虫害に依る損害に対する調査質問に対し、別紙答弁署を送付する。



   参議院議員宿谷榮一君提出米、麦、馬鈴薯、甘藷及び一般農作物の病虫害に依る損害に対する調査質問に対する答弁書

 病害虫防除は食糧増産上極めて重要であるので質問の諸点に対して政府としては左記に依り防除の完璧を期して居る。

一、病害虫防除に関しては各種試験研究を農事試験場等で実施する外一部は各大学に委託しその成果の推進を期すると共にその結果を講習会、実地指導、農民叢書配布等の手段により迅速に農家に普及し更に農薬協会等の協力を得て展示会を開催し優良農薬、農機具の普及奨励に努めている。
 更に病害虫の防除には、その発生を早期に発見して対策を樹てることが肝要であるので昭和十六年より各都道府県に助成して病害虫の早期発見及び発生予察事業を実施せしめ、発生の虞あるときは、凡ゆる私報機関により速報警報を発し発生面積が拡大せず被害率も軽微なる内に撲滅して最少の資材と労力で最大の効果を挙げるよう努力している。
 尚国庫の助成に関しては前記早期発見及び発生予察事業に対して補助金を交付している外、二十三年度においては西日本一帯の各県に対し三化螟虫防除に関する助成をする計画であり更に病害虫発生の状況に応じ従来から実施して来た害虫駆除予防費による臨機の助成を継続実施する考えである。

二、農業薬剤については、その需給の現状は、銅剤、水銀剤、硫黄剤、補助剤は大体全需要量を供給することができるが砒素剤、ニコチン剤、デリス剤、除虫菊剤、鉱油乳剤、クロルピクリン等は、資材その他の関係上供給は需要の六―七割程度であるので目下その増産に努めると共に国内で増産不可能なデリス粉、硫酸ニコチンについては輸入を懇請している、又D、D、T剤は卓効があるのでこれが原料の確保につき連合軍司令部及び厚生省と交渉の結果一部は既に農薬として生産を開始している。不足の薬剤については農業資材配給規則により公平な配給を実施し且その使用の効率化を期している。

三、農用噴霧機については、生産資材の不足、価格の割高等のため、果樹蔬菜地帯の外は十分普及をみなかつた憾があつたが、今後、資材の確保し増産を図ると共に破損品の修理に万全を期したい。

四、農薬、その他病害虫防除一般に関する知識の普及に関しては一に述べた所の外協同組合等を通じて普及を図る外今後指導普及組織の確立と相俟つてその徹底を期する考えである。

五、農産物価格と、防除に要する労力資材の点については、困難な問題があるが、部落又は協同組合単位等の協同防除を実施するよう指導して行きたい。