質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第十八号

内閣参甲第一九号
  昭和二十三年二月六日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出塩配給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出塩配給に関する質問に対する答弁書

(イ) 塩には所謂官塩と自給製塩とがある。官塩とは輸入塩の全部と国内専業製塩者より政府が収納した塩で、これは一般の塩の販売業者を通じて、国民に配給される。自給製塩とは戦争中より終戦直後にかけて、外国塩の輸入が激減ないし、杜絶し塩が極度に逼迫した際、民生安定のため、塩専専売法を改正して認めたものであり、(但しこの一部優秀なものは昨年二月六日専業製塩に切替えた)これは官塩ではない。但しその処分については専売局の承認制の下に可及的公正な分配を指導している。
 国内生産事情を見るに、専業製塩設備の年産能力は現在約九〇万屯に達するが石炭、電力事情から二十二年度の生産見込は僅かに十数万屯に過ぎず、製塩者とその従業員は困窮を極めている。一方群小の自給製塩については電気製塩によるものは大体専業製塩業者と同じ立場におかれているが、その他は塩不足を反映して薪その他の代用燃料を入手し相当に生産しているものと思われるが、この内に闇に流れるものがあるのであり遺憾に耐えない。政府としては塩が生活必需品であるにも拘らず政府より配給する所謂官塩のみでは、国民の健康ないし食生活を保持することが出来ぬ点を考慮し塩の闇については悪質で大口のもの以外は比較的寛大の措置をとつて来たのであるが、最近塩の輸入事情が漸次好転し、全体の需給関係も改善されつつあるので、流通秩序確立の見地より闇の取締に一段と強力な手を打つ覚悟である。塩の需給関係は前述のように改善されつつあるが官塩では工業用は勿論味噌、醤油、漬物、水産用等各方面にわたり、なお需要量を充すには大分の距離があり、従つて農家は一部自給製塩を入手したにしろ全体的に見てなお相当不足しているものと思われる。
 塩の闇は一部自給製塩にあるが、官塩についてはその一般販売業者が闇取引をしたことは幸いにして今迄一度も聞いたことがない。政府としては今後とも輸入について努力をするとともに、石炭事情の好転もあり事情の許す限り国内生産にも努力し塩の配給量を多くして行きたい。

(ロ) 国内生産者は前述の如く一部の自給製塩者を除き大部分は手持塩が極めて少いと考えている。勿論専業製塩者の手持塩は当然全部政府で収納し、官塩として配給するものである。