質問主意書

第2回国会(常会)

答弁書


答弁書第七号

参甲第八号
  昭和二十三年一月三十日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出商業登記に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出商業登記に関する質問に対する答弁書

 法人の登記の申請者(代表者)は、予めその登記所に印鑑を提出しておき(商業登記取扱手続第十一条)、その法人が当該登記所の管轄区域外に不動産を所有する場合には、将来の不動産登記の必要上当該不動産所在地の管轄登記所に右印鑑の証明書を提出することになつている(不動産登記法施行細則第二十五条第二項)。登記所が法人代表者の印鑑証明をするのは、現行法上右の場合に限られており、一般取引に使用する法人代表者の印鑑の証明事務は、都道府県令に基いて市区町村長がこれを行つているのである。
 法人の代表者が一般取引に使用する印鑑の証明事務も、登記所において取り扱うことにすれば、法人にとつても便宜となる場合があると考えられるけれども、他面において(一)市区町村長の行う印鑑証明事務との統一調整を図る必要を生じ、(二)市区町村の収入の減少が予想され、(三)登記所における事件数増加に伴い職員の増員を必要とし、(四)他の法令例えば公証人法第二十八条第二項、第三十二条第二項等においては、特に市区町村長の証明した印鑑証明書を要求しているので、これらの点について立法的措置を必要とし、(五)未登記の法人又は印鑑届出をしていない法人もあるので、これらの諸点を考慮すると、単に商業登記取扱手続及び不動産登記法施行細則の一部改正のみによつては、容易にこの問題の解決を期し得ない。今後、これら各般に亘り慎重に研究し、御趣旨を汲んで適当の措置を講じたい。