質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第百二十九号)

内閣参甲第一四三号
  昭和二十二年十二月五日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員宿谷榮一君提出農機具生産用並に小農具生産及補修用諸資材等の所要数量確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員宿谷榮一君提出農機具生産用並に小農具生産及補修用諸費材等の所要数量確保に関する質問に対する答弁書

一、農機具の需要量と生産量の関係については農機具生産の主要資材である鉄鋼、銑鉄、木材、燃料等が物資需給計画の面に於いて制約され昭和二十二年度において商工省が計画生産せる数量は需要量の二割乃至三割程度に過ぎなかつたが実際生産の上では二十一年度に於ける入手特殊物件、手持資材の活用等により、なお、相当の需要を賄い得た。しかしながら需要の充足については、もとより十分とは言えないので、商工省としては今後共経済安定本部農林省等関係方面と連絡を保ち農機具増産に邁進するつもりである。
 補修の問題に就いては修理資材の大宗である鉄鋼、コークスの配当が従来僅少であつた為供米報奨用として鍬の修理を若干行う事が出来たのみで犂、砕土機、除草機、脱穀機、籾摺機等主要農機具につき、具体的に修理計画を策定することは困難であつた。

一、物資需給計画により配当を受けた資材量としては指摘されたる通りであり農村に於ける農機具需要数量の生産には余りに僅少であり食糧等の再生産及び供出に支障を来す虞があるので、これに対処するため、この程、昭和二十三年一月より十二月迄の分として普通鋼材一八、〇〇〇噸銑鉄九、〇〇〇噸コークス四八、〇〇〇噸の枠が経済安定本部に於て決定を見た次第である。

一、小農具特に農家の日常必需品たる鍬鎌の新造、修理に就いては過般の閣議に於いて
鎌  (新造)一、二〇〇万挺    一二〇万挺
四〇万挺    除草機三五万挺
犂先(修理)五〇〇万挺    鍬先掛修理六〇〇万挺

を夫々実施することを決定し、商工省に於いては目下その具体化につき鋭意準備中である。
 右の計画を実施する結果野鍛冶業者に対する鋼材及び燃料たるコークスについても、今後は相当量の割当があることとなり此等資材の現物化についても、特別なる方途を講ずる様目下研究中である。

一、其の他脱穀機、籾摺機等重要農機具については鋭意生産の確保を図るべく努力しつつあり、木材、鉄銅二次製品その他所要資材についても主資材の割当量に照応し、必要量を確保する予定である。

一、修理資材の点については上に述べた犂、鍬の外、他の機種について、夫々の実情に応じ、今後、逐次具体的に資材の許す範囲に於いて策定する予定である。

一、終戦後の農機具の粗悪化防止策については、生産業者の責任生産体制の強化を根本方針とし、製品の出荷に当つては公定価格、証紙貼付を励行せしめる外、製造工場の商標、銘、工場名等を明記せしめ、需要者が一見して其の製品の出処を知るを得る様にしているが、農機具の検査制度についても目下研究中である。