質問主意書

第1回国会(特別会)

答弁書


(答弁書第百二十五号)昭和二十二年十一月二十八日配付

内閣参甲第一三三号
  昭和二二年十一月二十五日

内閣総理大臣 片山 哲      


       参議院議長 松平 恒雄 殿

参議院議員小川友三君提出現農地主食糧二倍化等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川友三君提出現農地主食糧二倍化等に関する質問に対する答弁書

一、麦作に於ける広巾薄播栽培法は、土地、肥料、農薬、労力等の条件が整えば麦増産上極めて優秀な栽培法であるので既に適地に於ては実施中であるが、今後に於ても各地の諸条件を勘案して極力実施せしめ指導普及したい考えである。

二、我が国は国内産食糧ではその需要を満すことが出来ないのであるが、昭和二十二年米穀年度中は其の不足数量を充足すべき食糧の輸入が世界の食糧事情の悪化の為に減少する事になつたので、その為に満配は不可能となつた。国内産食糧は農家の可能な最大限度を供出せしめているので、これ以上は不可能であつた。食糧輸入の懇請を政府は引続き強力に行つて、次米穀年度には欠配の起らぬよう努力する。
 なお、芋(甘藷、馬鈴薯)は可能な限りの最大量を主食として配給している。

三、我が国の平地面積は傾斜一五度未満の山裾地等を含めて大体四六〇万町歩である。
 この平地林は、既往農家の自家用薪炭材又は落葉採取地として又防風その他の危害防止の保安的備林として存立してをるものがその大部分であるので、之を開拓するについては以上の関係を充分考慮してその可否を決定しなければならない。
 なお平地林は薪炭の給源としても重要な山林であるので、将来の資源の保続を考慮して、一定の計画に基いて伐採しなければならない。

四、異常災害に該当する農業保険組合連合会に対する政府の再保険金支払は当該農業保険組合連合会から再保険金支払請求書提出次第直ちに支払うよう準備を進めている。なお今回国会提出中の農業災害補償法案が公布施行の上は農業共済組合ごとに定められた反当収穫物の価格の二分の一を標準として共済金額が決定されることとなつており、昭和二十二年度の水稲に適用される最高共済金額は一反歩千二百円となつている。

五、政府麦の委託加工を行つている製粉業者については既に従前より食糧事務所々員等をして厳重な監督をなさしめているので殆ど不正は行われていないものと考えている。又所謂賃加工業者に対しても同様の厳重なる監督を行つて不正の絶滅を期したい所信である。

六、引揚者が内地におりし時、知人又は親戚に貸して行つた農地のその引揚者への返還については個々の事情によつて、その日の生活の維持が困難で他に就業が出来ない者で真に止むを得ない事由とみとめられる場合について現耕作者の立場も公平に考慮した上、農地調整法第九条の「其の他正当の理由」として処置するよう指導している。
 海外からの引揚邦人の持帰り金の新円との交換限度(一般人一千円)を引上げることについては、引上げの限度及び範囲等について、関係方面と交渉の上、差支えなければ予算とも睨みあわせて実施することと致したい。